Q6
パネル展を手伝ったり、友人知人に動物実験について話したりしますが、なかなか理解してくれません。壁の厚さに、時々むなしくなります。
A6
「動物行政をみればその国のレベルがわかる」というガンジーの有名な言葉があります。この冒頭の「動物」という言葉を、「お年寄り」、「障害者」、「少数民族(先住民)」、「女性」、(あるいは「男性」?)といった言葉に置き換えてみてください。どの言葉に置き換えてもこの発言の意味するところはまったく変わらないことに気付かれると思います。社会的弱者が虐待される、あるいはその処遇、ケアが低劣れあるということはその社会システムが未熟であり、レベルが低いとガンジーは言っているのです。
私たちの国日本はこの点どうでしょうか。
言うまでも無く、現在の日本においては、人間に比べて徹底して弱者である動物たちの置かれている環境は極めて劣悪です。特に、動物をあくまで“材料”とする動物実験は、弱者を蔑視する象徴的事例であり、それが野放し状態で膨大な数が行われているということは、日本の社会レベルが低いことを端的に示しているのです。動物たちの処遇を改善すること、すなわち最も弱い者の地位を底上げすることは、差別されている者(人間)の地位を向上させることに他ならず、それが社会全体のレベルを向上させることになるのです。
動物実験の廃止運動は単に動物愛護の範疇にとどまるものではなく、より高度な人間の社会システムを求める運動でもあります。単に動物が救われるだけではなく、私たち人間にもその恩恵が返ってくることを理解して、自信を持って、地に足のついた活動を継続しましょう。
(北村孝至)
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