医学や化学の分野での動物実験は、専門的でとても難しいもので、私たち素人には口出しできないのではないでしょうか?
1.納税者そして消費者として
2.受益者または被害者として
3.環境問題として
1.医科学の研究のためには莫大な資金が必要ですが、それは私たち市民が払う税金で支えられています。また、お金を払ってその成果を買う私たちの消費行動によって支えられてもいます。賢い消費者、納税者として、どのような研究にどれほどの資金が投じられているのかを監視したいものです。
2.私たちは医科学の恩恵も受けていますが、逆にその被害も被っています。例えば、即効性のある医薬品には必ず副作用があります。確かに動物実験はある種の知識を増大させるかもしれませんが、逆に他の生命の痛みや苦しみに何も感じないような無慈悲さ、無感覚さをもたらし、人格的荒廃を招くかもしれません。誤った医療により被害を受けるのは他ならぬ私たち患者の側です。専門家任せにして、自分が受ける実験的医療等の意味を知らないでいることは、悲劇をもたらします。
3.医学や科学研究は、環境問題と深く関わっています。もしこれらの研究が密室の中で歯止め無く暴走してしまったら、その被害を受けるのは私たち市民です。例えば、実際に遺伝子組み替えで造られた未知の病原菌が実験室の中から外に放出されたらどうなるでしょうか。現在の医科学研究の分野には、一度事故が起こるとあらゆる生命を死の崖っぷちに立たせるような、危険なものも存在します。だからこそ、それらの研究は常に市民に解る言葉で情報公開されなければなりません。
PL(製造物責任)法が、製品の事故に関する情報を製造者自ら消費者に公開するように求めているように、医科学の研究者達は、自分たちの専門分野の研究の内容を、私たち納税者・消費者である市民に解る言葉で説明する責任があります。そのような立場で、私たちは臆するところなく、研究者たちに問いかけていく必要があるのです。
全ての生命が互いの生を分かち合っているこの地球の上で、自分自身のためにも、他の動物や植物のためにも、私たちは生命や環境を危機にさらして暴走する科学技術を、チェックしていかなければならないと思います。
(野上ふさ子)