Q4
よく「動物実験に反対している人は、病気になったら薬を飲まないのか?」と質問され、悩むのですが…。
A4
私たちはできるだけ動物の犠牲を減らし、無くしていきたいと願っています。そして、「病気=薬=動物実験」という図式そのものを考え直す必要があります。
1. 薬について考えてみると
(1)動物実験をしていない薬 (2)長年使用され、有効性・安全性が確認された薬 (3)動物実験を行って開発する薬
の3つがあります。
(1)動物実験をしていない薬とは、何百年も前から経験的に知られている薬で、薬草や漢方薬などがあります。また、薬事法ができる前から市場に出回っていた民間薬・伝統薬などもそうです。
(2)WHO(世界保健機関)は、安全性・有効性が保証され、人間に必要な基本的な医薬品を500種程度としています。すでに長年の間多くの患者が使用してその有効性が評価されている医薬品であれば、新たな動物実験をする必要はありません。
(3)日本で次から次へと新薬が作られる理由は、新薬は発売当初たいへん高価に売れるからです。しかし、3年後に薬価が引き下げられ、利益幅が下がるため、製薬会社はさらなる利潤を求めてその必要もないのにまた新薬を開発するという仕組みになっています。多くの薬は、患者に必要というよりは製薬会社の利益追求のために行われているということを考えると、むやみに新薬を使うのは考えものです。
2. 病気について考えてみると
(A)薬を飲まないほうがいい病気
(自己治癒力で回復できる病気)
(B)薬を飲むと効く病気
(細菌やウィルスによる感染症)
(C)薬を飲んでも効かない病気
(長期にわたる不摂生からなる病気)
(D)薬を飲むとかえって悪くなる病気
(副作用によって発症する病気)
というタイプにわけて考えてみましょう。
(A)たとえば、風邪は薬を飲んでも治る病気ではありません。市販の風邪薬は、セキやノドの痛みなどの症状を抑えるだけのもので、風邪そのものの治癒薬は存在しないのです。(ということを、製薬会社もはっきり認めています。)
(B)病原菌による感染症には抗生物質が非常によく効く場合があります。とはいえ、細菌やウィルスの方も次第に抗生物質に対する耐性(抵抗性)を強めているため、効かなくなっているのは周知の事実です。病院で感染するMRSAなどは、ほとんどの抗生物質が効かない耐性菌です。
(C)現在、日本人の死因で最も大きいガン、心臓病、脳卒中などは、すべて慢性病であり、薬を飲んだらすぐに治るという種類の病気ではありません。長年の食生活やストレス、環境要因によることが大きい病気ですから、薬に頼るのではなく、ライフスタイルを変えることが先決なのです。
(D)たとえば、抗ガン剤はその9割が効果よりも副作用の方が大きいと言われています。現在、薬の飲み過ぎが、様々な薬害や副作用の被害を作り出しています。すべての医薬品は、人工的に合成された科学物質であり、それらはすべて作用(有効性)とともに副作用(有害性)をあわせて持っています。なんと言っても、薬の被害を受けるのは、医者や製薬会社ではなく、患者自身なのです。
「病気は治ったけれども患者は死んだ」ということになってしまわないように、病気と薬の関係についてもう一度考えてみることが必要です。
(野上ふさ子)
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