AVA-net News No.121
見てわかる!図解 経皮毒性
山下玲夜 著 日東書院 1200円+税
著者は数年前、歩くこともできないほどリンパ腺が腫れ、ホルモン治療を受けたところ次から次へと副作用が出て、たいへんつらい日々を送ることになったそうです。ところが、友人からもしかしたらシャンプーのせいでは?と言われ、シャンプー、リンス、洗剤を変えたところ、1年ですっかりよくなったというのです。
「経皮毒」とは、シャンプー、洗剤などの日用品に含まれる化学物質が皮膚から体内に侵入し、有害な作用を起こすこと。無農薬の野菜や無添加の食品には注意していても、皮膚から入ってくるさまざまな日用品の毒性には気付かないことが多いものです。安全基準があるといっても、それは動物実験で定められたもの。人には個体差、性差、年齢差などがあり、また、その時の体調や精神状態などもによって化学物質の影響は大きく異なって現れます。また、自分の体の気がかりばかりではなく、水や大気を汚染して他の生き物や環境にも悪影響を与えることになります。
日用品を購入したり使うときには、事前によくチェックして悪影響が懸念されるものは使用すべきではありません。今こそ私たちは、何よりも「賢い消費者」になる必要があるのです。本書は、図と言葉で説明されていて、とてもわかりやすく書かれています。(野上)
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AVA-net News No.117
食品の裏側
安部司 東洋経済新報社 1400円
以前、「食肉フェア」というのを見に行ったことがありますが、クズ肉を集めてステーキに仕立て上げる方法の展示や、肉が赤く新鮮に見えるようにする発色剤(添加物)の紹介やらがあり、びっくりしました。しかし、真実はもっとすごいもののようです。本書の著者は、食料、添加物商社のトップセールスマンで、どんなにひどい食材でも添加物次第でいかようにでも変身させることができるさまざまな秘訣?を紹介しています。
この人がなぜ添加物会社をやめたかというと、ある日のこと帰宅したら、食卓の上に自分が開発したミートボールがあって、子供がまさに食べようとしていたのを見てぞっとしたからなのだそうです。我が子には食べさせられないような食品を売りまくっていることに始めて良心がめざめ、今では食品添加物の害毒を紹介する側に立っておられます。
こうしてみると、私たちは店頭で売られている食品についての情報がいかに足りないかに気が付きます。多くの人々が食品の実態について関心をもち、情報公開を求めていく努力が必要だと痛感させられます。(野上)
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AVA-net News No.116
新・食べるな、危険!
小若順一著 講談社 1400円+税
現在の日本では、食糧があふれるほどあり、毎日300万人分もの食物がゴミとして捨てられているとのことです。史上空前の食生活の豊かさですが、その食糧の6割以上は、海外からの輸入農水産物に依存しています。世界中から長距離輸送で運ばれてくる輸入農産物は、一見安いようでも、途上国の環境を破壊し、地元の人々の伝統文化を奪い、野生動物を絶滅させるなどに加えて、石油エネルギーを大量に消費しており、地球環境の破壊に手を貸しています。
さらに、多くの食材には防腐剤や殺菌剤が含まれ、スーパーなどの店頭にならぶ食品には、化学調味料をはじめとするさまざまな人工化学物質が添加されています。
本書は、肉類、魚介類、野菜、果物、穀類、加工食品、調味料飲料、菓子類、健康食品のそれぞれに、どのような危険性があるかを具体的に指摘しています。このような危険な食品を長期的に日常的に摂取している人々が、病気にならない方が不思議かもしれません。
病気になればなったで副作用の強い医薬品が山のように提供され、モラルのない医者達が処方していると考えると、私達の生命そのものが利益追求社会の食い物にされていることに、ぞっとしてしまいます。ライフスタイルを変えること、価値観を変えることが今ほど必要な時はないような気がします。(野上)
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AVA-net News No.113
死体の晩餐
ヘルムート・カプラン著 田辺リューディア他 訳
同時代社 1500円
表題だけだと恐い印象を受けますが、本書の副題は「動物の権利と菜食の理由」です。 かつては人と動物の間には大きな隔たりがあり、それ故に人間は動物に対して何をしてもよいと考えられてきましたが、近年は人と動物は非常に近い存在であり、痛みや苦しみだけではなく感情の多くも共通していることが理解されるようになりました。
とすれば、その動物を単なる食糧や単なる実験材料として使うことは、人の倫理や道徳にも反することになります。日本で数少ないドイツ語圏での動物に関する倫理と哲学を、とてもやさしく紹介しています。(野上)
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AVA-net News No.109
動物たちの自然健康法−野生の知恵に学ぶ
シンディ・エンジェル著 羽田説子訳
紀伊国屋書店 2200円+税
動物園で見るクマやシカは、毛艶が悪く生気がありません。一方、私たちがたまたま自然の中で彼らに出会うと、すばらしい毛艶をしていて輝いて見え、その生気のオーラのようなものに感動したりします。自然の中で生きている野生動物は、病気やけがをしても、医者もかからず薬も飲みません。どのようにして野生動物は自らの健康を維持しているのでしょうか。本書は、野生動物がどうやってケガや寄生虫、感染症などから身を守り、自らを治癒しているかを、そのおどろくべき実態をさまざまな動物の行動の観察記録から引用し紹介しています。
動物が食べる物は、単に栄養やエネルギーのためばかりではなく、その時々に応じて薬ともなっています。彼らは、複雑で多様な生態系の中で、環境とうまくバランスをとりながら、体の必要に応じて食べ物を摂取しています。従って、野生の動物は自分の周囲の環境についてたいへんよく学び、経験と知恵を身につけながら自らの健康を維持しているということがいえるでしょう。
ペット、動物園の動物や畜産動物などの飼育動物は、囲いの中に閉じこめられ限られた人工的な食べ物しか与えられないために、栄養不良と免疫の低下、自己治癒能力の喪失が避けられません。野生動物の自己健康法を学ぶことは、動物の福祉と健康に寄与するばかりか、人間自身の健康法に新たな発見をもたらす可能性があります。
飽食の時代と言われながら、いま私たちが摂取する食物の栄養価や薬効成分は著しく低下しています。それはほとんどの食品が、化学肥料や農薬漬けの単一栽培・集約飼育方式で作られているからです。人間自身の健康と福祉のためにも、生物多様性の維持と有機食品の摂取が不可欠という時代になりつつあります。
人も含めて動物の健康はまさにその食べ物に大きく依存していますが、残念ながら現代医学ではこの観点がまったく欠落しています。動物実験の例でわかるように、健康な動物をどうすれば病気にさせることができるかをまず解明し、その上でどんな医薬品や医療を施せばそれが治癒できるかといった研究には莫大な資金がつぎ込まれています。けれども、動物たちがどんなにうまく病気を水際でくい止めているか、どのようして健康を維持しているかといった研究には目が向けられません。著者は、「人間は病原体の撲滅ばかりに目を向けるが、動物は症状の除去、予防、治療を含むホリスティック(全体観的)な方法によって感染症と闘っている。」と述べています。こ
れからは生物多様性に基づく新しい医が必要なのかもしれません。(野上)
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AVA-net News No.105
ガンジーの健康論
M.K.ガンジー著 編集工房ノア 1700円(税込み)
ガンジーはインド独立運動に献身した方でしたが、政治的活動のみならず人間の心身の独立と自治をも提唱されました。ガンジーは、真の健康なくして真の幸福はないこと、また真の健康は食生活の抑制なくしては不可能であると述べています。人は健康であるために十分の注意を払うべきであり、病気は誤った生活(特に食生活)の結果である、病気になるような生活を変えない限り、また繰り返す、そのような理由から、病気になったらすぐに薬や医者に頼るのは、人間の自立心を損なうもので、薬を飲み続けていると自分の精神をコントロールする力を失ってしまう、としています。
このような医学観にもとづくガンジーは、特に動物実験についてこう述べています。「ヨーロッパの医者が、人間の健康を守るために年間何千匹という動物を殺したり、生体解剖をやるのは最悪です。人間の肉体のためにそんなに多くの生命を奪ってよいはずはありません」「私の意見としては、生体解剖は、今日、人間が神と神の造られた美しい生き物たちに対して犯している罪の中でも、最も罪深いものだと思います」
これは人間の健康と幸福について深い信念をもった人でなければ言えない言葉です。(野上)
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AVA-net
News No.107
母なる自然の食卓−大地のメッセージ
鶴田静 著 東洋書林 2800円+税
菜食文化研究家として知られる鶴田さんの最新のエッセイ集です。千葉県の田舎に暮らし、自分の手で野菜を作り、それを料理して、楽しんで食べる日々の暮らし。そんな中で生き物を育む「母親のような自然」の力、やさしさにふれるとき、心からわきあがる感謝の気持ち。この自然の恵みを少しでも多くの人々と分かち合えるようにと、美しく、美味しいお料理のレシピも満載です。大地がもたらしてくれる多種多様な植物の恵みこそが、私たちの健康の土台です。人にも動物にもやさしいベジタリアンのライフスタイル、心のやすらぐ簡素で豊かな暮らしの大切さを知ることができます。(野上)
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AVA-net
News No.100
ホリスティック医療のすすめ
岸原千雅子 日本実業出版社 1700円
ヒトが生きている限り、病気やけがは付き物です。医者に行くまでもないとしても頭痛や腹痛、悪寒、吐き気、節々の痛み、何となく体調が悪いといったことを経験したことのない人はいないでしょう。そのように体の具合が悪いときに、すぐに薬局に駆け込み、病院に駆けつけるしかないのでしょうか。薬の副作用で別の症状が出たり、医師の誤診でかえって悪くなることもしばしばです。
がん、脳疾患、心臓病という現代日本人の三大疾患は、長年の生活習慣に起因するもので、薬や病院ですぐに治るというものではありません。食生活の改善やライフスタイルの見直し、何よりもすべての生き物が本来的に持つ「自然治癒力」を大事にした、心と体にやさしいホリスティック医療の考え方を本書で知ることができます。(野上)
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AVA-net
News No.105
食べ物から広がる耐性菌
日本子孫基金編 1500円 三五館
いま、人が病気になっても抗生物質が効かなくなっていますが、それはなぜでしょう。いくら新しい抗生物質を開発しても、すぐに耐性を獲得してしまうので「いたちごっこ」になると言われています。しかし、問題はそればかりではありません。実は、抗生物質が畜産動物の薬用ばかりでなく、飼料としても大量に使用されてきたために、私たちの食べ物に由来しても耐性菌ができてしまったのではないかとされています。
では、なぜ畜産動物の餌に抗生物質が使われているのでしょうか。それはもちろん、牛や豚、鶏などの飼育方法に問題があるからです。動物たちの飼育状況の改善は、私たち自身の生活や環境の安全と深くむすびついています。本書を読めば、目からうろこのこともあるでしょう。
暮らしの安全白書−日常生活の有害物質がわかる本
小若順一、松原雄一著 学陽書房 2000円
私たちの暮らしの中にはおびただしい人工化学物質があります。その安全性=毒性を調べるために、またおびただしい動物実験が行われます。しかし、そうやってみても、アレルギーや化学物質反応症などをくい止めることはできません。本書では、できるだけ化学物質を避けた食べ物の選び方、住まいの工夫、着るものの選び方、体の具合が悪くなったときの対処法などが、それぞれの項目別にやさしく書かれています。何かあったら開いてみるという読み方でも役にたちます。
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AVA-net News No.106
図解でわかる 危ない食材
渡辺雄二著 日本実業出版 1500円+税
BSE、SARS、鳥インフルエンザなどの感染症の広がりから、かつてないほど「食の安全」に対する関心が高まっています。これまではしばしばメディアは、だからもっと衛生管理をしろとか、動物実験をして安全性を確保すべきといった議論の法へ流れがちでした。本書は、食の安全性の背後には、野菜が化学肥料・農薬漬けになっていること、畜産動物が合成飼料・医薬品漬けになっているということに本質的な原因があることを指摘しています。まさに現代は、農薬、輸入食品、遺伝子組み替え食品、家畜の過密飼育、養殖漁業、病原性細菌と食中毒、クローン動物など、幸か不幸か食の安全性をめぐる話題には事欠かない状態です。これらのテーマを1ページ1項目で、わかりやすく図やイラストで紹介している入門書です。
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