動物実験廃止・全国ネットワーク   資料請求   サイトマップ   MAIL
AVA-net English Site
まず知ることから
動物実験Q&A
情報公開
こんな実験は必要?
法律・指針等
代替法
海外ニュース
活動の紹介
アピール
レポート
全国ネット活動
ライフスタイル
入会のご案内
本の紹介
ご意見
リンク
HOME
実験犬

 

携帯サイトはこちら

更新履歴
イベント
パネル展・勉強会などのご案内は、姉妹団体ALIVEのブログのイベントカテゴリをご覧ください。
 
資料請求
会の案内資料をお送りいたします。
ご入会について
お問い合わせ
検索

 

   

 
 HOME > 情報公開 > 日本の動物実験委員会は機能しているか? 〜まとめと提言〜  
 

動物実験の情報公開

情報開示請求活動

日本の動物実験委員会は機能しているか? 

資料集
「情報公開請求に基づく動物実験計画書調査結果」

〜まとめと提言〜


■ 資料集について

【対象機関】17大学19施設+2国立研究機関
 (ただし、実例集の対象となっているのは、17大学実験施設+1国立研究機関の実験計画書1028件分です)

【視点】医学的・学問的もしくは倫理的観点からのチェックは控え、あくまで実験計画書と動物実験委員会の機能面をチェックする内容としました

■ 問題点のまとめ

1. 実験計画書の書式そのものに関する問題点

  1. 書式そのものがばらばらで、大学・研究機関によっては重要な項目が抜け落ちている場合がある。(実験の目的、実験開始・終了日、苦痛のカテゴリー、実験従事者全員の氏名など)
     
  2. 実験計画書としては一番重要と思われる、実験の方法、手順について具体的に記述を求めていない傾向がある。
     
  3. 動物福祉上重要な、苦痛軽減・排除方法や代替法の検討については選択式が多く、形骸化してしまっている。
     
  4. 使用動物種の妥当性や、使用匹数の算出根拠などを聞いていない場合がほとんどである。(種については全大学が欄なし、数については2大学のみが欄あり)
     
  5. 苦痛のカテゴリーの評価根拠や、それに対する対策などの欄がない
     
  6. 委員会のコメントを記入する場所がないなど、委員会の承認自体を形式的なものと見ているきらいがある
     
  7. 実験の目的や方法については、情報公開を前提に、一般人が納得できる内容と書式にするべき。
     
  8. 苦痛の軽減方法や、安楽殺の方法を聞いている欄において、薬剤名の記載は求められているが、用量まで検討させていないケースが多い。
     
  9. 新規・継続の違いをはっきりさせていない書式が多い。区別させている場合でも、何年目の継続かまでは不明。
     
  10. 重複実験の調査に関して記述を求めている大学・研究機関は皆無だった。


2. 記入された計画書に見られる問題点
  (計画書の運用面、実験委員会の機能面について)

  1. 委員会のコメント欄があったとしても、ほとんどのケースで記入がない。全くないという大学も多い(17大学+1研究機関中、実質的なコメントがあったのは、3大学) 審査委員の意見が記入されているなど、チェック機能が比較的果たされていた大学に、九州大学、東北大学があったが、九州大学の場合は委員個人の努力によっている印象がある。
     
  2. 委員会形式とは名ばかりで、審査を一人で行っている、または回覧で終わらせていると思われるケースが多い。
     
  3. 不承認のケースがない。委員会の指導による計画の修正などに関しても、記載からその履歴がわかったケースは1件だけであった。不足情報の補足を積極的に求めていたのも、九州大学のみであった。
     
  4. 承認日より実験開始日が早いケース、実験開始日以降に書式が提出されているケースなど、運用面で大変疑わしい実態がある。また、計画書提出日と承認日が同じ、承認日がばらばらであるなどのケースで、委員会形式を経ていないことが想像された。
     
  5. 動物種や使用匹数、苦痛のカテゴリー、実験期間、入手先など、非常に重要と思われる欄が空欄の場合でも、実験委員会の承認を通っているケースが多くある。提出日や、遺伝的保証・微生物学的保証、実験場所、飼育場所、新規・継続の別などの欄まで含めると、空欄は当たり前のように多い。
     
  6. 情報公開に関しての問題点だが、動物の入手先、入手方法がほとんど不開示。野生ニホンザルや飼い猫の実験用捕獲の違法性が問題となっており、入手先の透明性と情報公開が必要。
     
  7. 実験内容について詳しい説明を求めていない、もしくは不開示部分が多々あるなどの理由で断言はできないが、大学間での重複実験の実態はあるものと思われる。 
     
  8. 医学的・学問的な妥当性に関してはあえて検討をさけたが、新規性に乏しく過去の繰り返しと思われる実験や、論文作成・博士号取得のためにテーマ設定したに過ぎないと思われる実験なども現実に多いように感じられた。
     
  9. 実験の目的を書かせている場合に、動物での成功が即人間にも適応されるがのごとく断じている記述も見受けられた。科学的に公平な態度を望むところである。


3. 現在の動物実験計画書の書式に取り入れられていないコンセプト

  1. 動物の個体識別と個体管理記録
     
  2. 実験の意義や価値に関する、一般人にもわかる記述
     
  3. 実験方法に関して、動物の取扱い・動物への配慮・動物の苦痛等に着目した一般人にもわかる記述
     
  4. 苦痛軽減・排除方法の詳細な検討と記述
     
  5. 動物福祉、特に3Rの各項目に対応した委員会の積極的な対応、コメント
     
  6. 重複実験防止の取り組み
     
  7. 発表学会誌等を含めた、実験終了後の評価との連携
     
  8. 失敗した実験結果のデータベース化と有効活用
     
  9. 実験計画書提出者と、実験承認者が同一であってはいけない等のルール作り
     
  10. 委員会の審査方法・過程についての積極的な情報公開
     
  11. 検疫情報と連携した記載

■要望

 今回、動物実験計画書の情報公開を求める活動の結果をまとめてみてわかったことは、日本の動物実験委員会はこれまで実質的な機能を果たしてこなかったのではないかということでした。また、日本の動物実験計画書および動物実験委員会は、その目指すところにおいても、まだまだ今後の課題を抱えた状態であると私たちは考えます。

 このような状況が続いてきた背景には、日本において現在、実験動物の福祉に関し、法律および基準上、国際的な比較に耐えうるレベルの遵守事項が定められてこなかったことがあるのではないでしょうか。

 たとえば、CIOMS (国際医科学機構協議会)が1985年に打ち出し、各国の法律に取り入れられているところの「医学生物学領域の動物実験に関する国際原則」の内容に関しても、日本では通知のレベルに留まっており、法律上の規制とはなってきませんでした。

 近年、「動物実験は倫理委員会によって、実験計画書に基づいた厳しい事前審査が行われている」という前提のもと、「法規制ではない自主規制を」との主張が日本においてしばしばなされていますが、現実には実験委員会が機能してこなかったことを思えば、自主規制では不十分な結果に陥ることは想像に難くありません。

 そこで私たちは、今回の動物愛護管理法改正に際し、動物実験に関して現在、最低限法律で定めるべき事項として、次の事項を要望します。

  1. 下記諸事項の前提となる、動物実験施設の地方自治体への届出制
     
  2. 動物実験倫理委員会の設置と、委員会開催形式による実質的審査の導入
     
  3. 上記委員会へ実験計画書を提出する制度
     
  4. 委員会委員として、学外の一般人が参加するしくみの導入
     
  5. 動物実験における3R(Reduction, Replacement, Refinement)の明文化
     
  6. 自治体の担当職員および第三者による外部査察制度
     
  7. 私立大学や企業をも含めた、記録の保持およびデータベース化と情報公開
     
  8. 実験動物取扱業者の登録制の導入
     
  9. 実験動物の入手先を前記登録業者へ限定する制度

 以上が、資料に掲載した内容ですが、時間的問題から今回調査できなかった点などを、今後、アンケート調査などによってフォローアップしていく予定です。今年環境省が行った全国の動物実験関連施設へのアンケートでは、実験委員会設置済施設が65.1%に留まっており、大学医学部・歯学部以外の実験に関する調査も今後の課題だと思われます。(ただしこのアンケートは回答率が31%で、対象施設の分野不明の問題があります) また、医学的・獣医学的見地、倫理的見地からのチェックなども今後の課題かもしれません。

 

 

 

  資料集 「情報公開請
   求に基づく動物実験計
   画書調査結果」
 


  情報公開法の活用法
 情報開示請求は誰でもすることができます。

 
動物実験Q&A  情報公開  こんな実験は必要?  法律・指針等  代替法  海外ニュース 

 アピール  レポート  全国ネット活動  ライフスタイル

Site Map  資料請求  AVA-netのご案内  資料集・ビデオ  ご意見  リンク  HOME
Copyright (C) 2000-2008 AVA-net All Rights Reserved