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 HOME > 情報公開 > 日本の動物実験委員会は機能しているか?  
 

動物実験の情報公開

情報開示請求活動

日本の動物実験委員会は機能しているか? 

資料集
「情報公開請求に基づく動物実験計画書調査結果」
をまとめました

根津瑞生

AVA-net News No.108  2004.9-10



 2001年4月の情報公開法施行により、当会では全国の主要大学・研究所に対する情報公開活動を行い、このほど「日本の動物実験委員会は機能しているか?」と題した資料を作成しました。

 内容は、各機関の動物実験計画書の書式の比較と、各大学ごとの問題点の指摘、および問題のある実例のピックアップ集となっています。

 今年の7月、日本学術会議が「動物実験に対する社会的理解を促進するために」という提言を出しています。この中で「わが国では、学術会議の勧告を契機として、各研究機関が法規に準拠して動物実験指針を制定し、動物実験委員会を設けて、動物実験を自主的に管理している。この自主管理体制は定着してよく機能しており、わが国の動物実験は科学的にも倫理的にも適正に運営されて、国際的にも高い水準にあると言える」と書かれています。

 しかし、当会が取りまとめたこの資料から浮き彫りになる動物実験計画書の実態は、この言葉から大きくかけ離れたものになっています。

 →このレポートのまとめと、提言についてはこちらをご覧下さい。

※なお、このレポートは、8月4日に開催された環境省の「動物の愛護管理のあり方検討会」(議題は、実験動物・畜産動物の福祉ほか)に臨時検討委員として参加した代表の野上より、参考資料として配布されました。

メディアでも紹介されました 
2004年8月4日  共同

動物実験の計画書ずさん 大学など開示請求で判明

 大学などで動物実験をする際に提出する計画書が動物種の記載など基本的なルールを守っていないのに内部の委員会で承認されている−。そんなずさんな実態が市民団体「動物実験廃止・全国ネットワーク」が開示請求で入手した全国19施設の計画書から4日分かった。記入漏れはほぼすべての施設であったという。

 文部科学省は動物実験に当たり倫理や安全面で問題がないか審査するよう大学や研究機関に求めている。同ネットの野上ふさ子代表は「内部審査が機能を果たしておらず、自主規制では不十分」として、企業も含め動物実験を国への届け出制にするべきだと訴えている。

 同ネットは2001年から今年にかけ、東北大や東京大、理化学研究所など国公立の計19施設に対して計画書の開示を請求し、開示された約1000件を調べた。

 その結果(1)動物の種類や数(2)検疫済みかどうか(3)動物が感じる痛みの評価−−といった基本的項目で記入漏れがあるにもかかわらず、実験が承認されていた例が見つかった。計画書の提出が実験開始予定日よりも遅いというケースもあった。

 実験に使う個体数の算出根拠の記入まで求めていたのは2施設にとどまった。計画書を審査する内部の委員会のコメント欄は10施設が設けていたが、意見の記入はほとんどなかったという。 (了)


(NATURE Vol. 430 12 August 2004)  英文(翻訳 事務局)

ずさんな承認が日本の動物研究(実験)を貶めている

 動物福祉キャンペーナーたちが日本において動物実験が承認される際に(実験者、施設が)統一された方法に則っていないことを明らかにした。

 東京にあるAVA-Netによれば、ある研究者は彼自ら作成した実験計画書を承認することができた。(実験計画書に対して、承認印を押す者が申請者本人となっている)また別の計画書では63匹の動物が使用されたことが記載されていたが、動物種が未記載であった。「真剣に計画書が検討されているのか疑わしい」と、AVA-Netの代表、野上ふさ子氏は語る。

 公的資金を受けた19の研究機関により承認された1000件以上の実験計画書を初めて分析し結果をまとめた資料は、8月4日環境省に提出された。

 環境省は毎月、来年に改正が予定されている動物愛護法に関する検討会を開いているが、資料に見られるケースは手続き上のミスであり、実験動物が正しく使用されていないことを意味しているわけではないと語った。

 しかし野上氏によれば、システム上のずさんさが結果として施設内での(実験動物の)乱用をうやむやにしている。また、ヨーロッパや北アメリカでは動物実験を行う研究施設は政府関連機関に登録する必要があるが、こうしたルールを日本政府にもつくって欲しいと語った。さらに、執行可能な法律と実験を監視する第三者機関も必要であると主張。現行の動愛法中、実験に関するセクションでは、法律に抵触した者に対する罰則も(法律の)執行メカニズムについてもいずれも言及されていない。

 動物を扱う研究者は、野上氏が指摘する動物虐待の可能性を否定する。研究者は高い福祉基準を遵守しており、この基準は彼らの属する機関により適正に規制されていると主張。だが一方で1500の科学、学術協会を代表する日本学術会議も法律の強化は必要であると認めている。

 学術会議は、7月15日に発表されたレポート上で国家レベルの動物実験ガイドラインとその履行を確実にするための外部評価システムの策定を勧告した。環境省はしかし、この提案には懐疑的である。省のスポークスマンは、動物愛護法における動物実験研究に関する事項の変更は、文部科学省、厚生労働省、環境省間の合意のみが可能とさせると指摘。これは、日本官僚主義の芸当であろう。「改変は極めて難しい」とスポークスマンは語った。

※全世界で多くの科学者たちが購読する「ネイチャー」に、こういった記事が掲載されたことで、日本の実験研究者たちにも何らかのインパクトを与えているのではないかと思います。


 

 

 

 

  まとめと提言
資料集 「情報公開請求に基づく動物実験計画書調査結果」のまとめと提言の部分です。
 


  情報公開法の活用法
 情報開示請求は誰でもすることができます。

 
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