(NATURE Vol. 430 12 August 2004) 英文(翻訳 事務局)
ずさんな承認が日本の動物研究(実験)を貶めている
動物福祉キャンペーナーたちが日本において動物実験が承認される際に(実験者、施設が)統一された方法に則っていないことを明らかにした。
東京にあるAVA-Netによれば、ある研究者は彼自ら作成した実験計画書を承認することができた。(実験計画書に対して、承認印を押す者が申請者本人となっている)また別の計画書では63匹の動物が使用されたことが記載されていたが、動物種が未記載であった。「真剣に計画書が検討されているのか疑わしい」と、AVA-Netの代表、野上ふさ子氏は語る。
公的資金を受けた19の研究機関により承認された1000件以上の実験計画書を初めて分析し結果をまとめた資料は、8月4日環境省に提出された。
環境省は毎月、来年に改正が予定されている動物愛護法に関する検討会を開いているが、資料に見られるケースは手続き上のミスであり、実験動物が正しく使用されていないことを意味しているわけではないと語った。
しかし野上氏によれば、システム上のずさんさが結果として施設内での(実験動物の)乱用をうやむやにしている。また、ヨーロッパや北アメリカでは動物実験を行う研究施設は政府関連機関に登録する必要があるが、こうしたルールを日本政府にもつくって欲しいと語った。さらに、執行可能な法律と実験を監視する第三者機関も必要であると主張。現行の動愛法中、実験に関するセクションでは、法律に抵触した者に対する罰則も(法律の)執行メカニズムについてもいずれも言及されていない。
動物を扱う研究者は、野上氏が指摘する動物虐待の可能性を否定する。研究者は高い福祉基準を遵守しており、この基準は彼らの属する機関により適正に規制されていると主張。だが一方で1500の科学、学術協会を代表する日本学術会議も法律の強化は必要であると認めている。
学術会議は、7月15日に発表されたレポート上で国家レベルの動物実験ガイドラインとその履行を確実にするための外部評価システムの策定を勧告した。環境省はしかし、この提案には懐疑的である。省のスポークスマンは、動物愛護法における動物実験研究に関する事項の変更は、文部科学省、厚生労働省、環境省間の合意のみが可能とさせると指摘。これは、日本官僚主義の芸当であろう。「改変は極めて難しい」とスポークスマンは語った。
※全世界で多くの科学者たちが購読する「ネイチャー」に、こういった記事が掲載されたことで、日本の実験研究者たちにも何らかのインパクトを与えているのではないかと思います。
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