猫捕り被害者による捜索レポート
盗まれた猫が実験に!?
猫たちを返して!
この3年毎年夏になると猫捕り業者が来ます。突然神隠しにでもあったかのように猫がいなくなるのです。
3年前に1匹、昨年も1匹、今年は7月6日に2匹、21日に1匹いなくなりました。21日は家の庭で寝ていたと思うのですが、トタンの塀が持ち上げられた手の跡がはっきりと今でも残っています。また、その子のいた場所には、よほど恐かったのでしょう、うんちがしてありました。私の友達も近所なのですが、3年前と今年、やはり同じように猫がいなくなりました。
もう許せない悲しみが怒りに変わりました。名古屋大学では医学生が夏休みに授業の課題として動物での実験があると聞き、友達と二人で名大へも出かけました。その名大の教授の方から、いろいろ話を聞きましたが、猫の動物実験はやっていないの一点張りでした。最後には他がやっているとか、私達の猫はもう県外だと言われました。「猫捕り業者」も確かにいると聞きました。でも関東で取った猫は関西へ、関西のものは関東へ売るのだと聞きました。そんなひどいことが許されるのでしょうか?警察へ行っても「物」扱いで終わりました。テレビ局へも手紙を書きました。ここはと思うところへこんな悲しいことがあるのだと一生懸命書きました。猫の手帳という雑誌にも…でもどこも取り上げてはくれませんでした。
もう最後は、製薬会社、大学病院へ手紙を書くことにしました。わらをもつかむ気持ちで、一件一件に電話をして実験室のある所を聞き、手紙と3匹の猫の写真と絵を送りました。…大学病院からの返事はほとんどなく、製薬会社からは電話が30件ほどあり、あとは手紙で返事がきました。中には心温まる手紙があり、涙があふれました。でも、どこからも、私の猫がいるという返事はありませんでした。いたら、大変なことなのですよね?
岡崎の国立の研究所で、年間猫を70匹実験に使っているという話を聞き、電話をしました。やはり本当でした。業者から買うそうです。今年(1999年)3月をもって県からの払い下げがなくなって困ったと言っていました。
かかりつけの動物病院の先生が言いました。きっとどこかの製薬会社にいると。その先生は昔製薬会社に勤めていたそうです。明らかに飼い猫と思われる猫が来ると言ってました。そして、神経系の実験に使われて殺されていくのだと…。
いろいろなことを知れば知るほど怒り、悲しみが込み上げやりきれない気持ちでいっぱいです。どこにいるのか、生きているのか死んでいるのか、お腹はすいていないかとか、どんなことをされているのか考えただけでも気が狂いそうです。どうか悪徳業者がいなくなる世の中になりますよう、お願いいたします。
I・E(愛知県)
手紙を書いて問い合わせた研究機関、企業の一覧
■病院・研究所・企業名 所在地
猫の使用(○…使用している。 ×…使用していない。 ?…不明。)
状況・コメント
■千寿製薬(株)
神戸市 ×
過去もこれからも実験動物を使用しない。
■創薬研究所(上記系列)
伊丹市 ×
同上。
■丸石製薬(株)中央研究所 大阪市鶴見区 ×
猫の施設なし、実験も行っていないが、実験動物は医薬品の開発に必須。
■鐘紡漢方ヘルスケア研究所 大阪市豊島区 ×
新薬の開発は行っていない、漢方薬や健康食品のみ扱っており、これに大型動物の実験は不要。
■ローヌ・プーランローラー研究所 筑波 ×
動物実験は実施していない。
■関西医科大学 大阪府守口市 ?
当学関係施設に手紙を回覧したが、該当の猫は見つけられなかった。
■東邦大学医学部総合研究部実験動物センター 東京都大田区
?
調査の結果、該当の猫はいなかった。
■帝国臓器製薬(株) 川崎市 ○
必要最小限に小動物を利用しているが、該当の猫はいなかった。
■(株)医学生物学研究所 名古屋市中区 ×
猫を購入することも実験もしていない。
■バイエル薬品(株)中央研究所 京都府相楽郡 ×
95年の開設以来、猫の実験はしておらず今後も予定なし。
■エスエス製薬(株)中央研究所 千葉県成田市 ×
実験動物としては、猫を使用していない。
■テルモ(株)研究開発センター 東京都渋谷区 ×
愛玩動物の使用は極力避けるようにしている。過去には猫を使用していたが今はしていない。そのとき買い受けた大阪の業者の方にその猫 が紛れているのでは。実験を皆無にすることは不可能だが、動物愛護を遵守し出来る限り代替法をとるなど、動物委員会を設けて全ての実験をチェックしている。
■武田薬品工業(株)創薬研究本部 大阪市淀川区 ○
条件付で猫を入手 1)ペルシャ、シャム猫は使用しない 2)去勢手術をした猫は使用しない。3)体重3.0〜3.5kgの猫を使用する。従って、該当の猫はいない。実験動物は極力少なくするよう配慮しながら研究を進めている。
■中外製薬(株) 東京都中央区 ○
この2年間で1件のみ外国から輸入したのみで、それ以外に猫を保有していない。研究には厳しい倫理機関を設け、代替法を追求することを必須としている。その上で現状の最善の技術を鑑み、やむを得ない場合にのみ実験を行っている。
■ファルマシア・アップジョン(株) 東京都新宿区 中止
筑波研究所・工場を1999年6月に閉鎖し、日本での研究開発を全て中止。現在、海外からの輸入医薬品の包装を行う工場のみ稼動しており、動物実験は今後も予定なし。
■べーリンガーインゲルハイム(株)川西医薬研究所 兵庫県川西市
×
現在実験に猫は使用していない。
■日研化学(株)大宮研究所 埼玉県大宮市 ?
猫の購入はしていない。
■シュリング・プラウ(株)滋賀工場 滋賀県甲賀郡 ?
試験担当者に問い合わせたが、該当の猫はいなかった。
■大鵬薬品工業(株)製薬センター ×
3年程前から猫を実験として使用した実績はない。今後とも動物愛護について、貴殿のような方がおられることを考慮しながら、動物実験及び研究開発を進め医薬品の開発に努めていく。
■グラクソ・ウェルカム(株)筑波研究所 茨城県筑波市 ×
8年前の設立以来一度も猫を使っておらず、実験のために繁殖された動物のみしか使っていない。また非合法な業者との取引はせず、取引先の審査にも十分注意している。動物愛護協会の定め及び社内の倫理委員会規制に基づき、動物の苦痛を極力和らげるよう配慮している。
■ゼネカ(株)医薬品事業部三田工場 兵庫県三田市 ×
国内において動物の試験は行っておらず、その施設もない。
■日本臓器製薬(株)生物活性科学研究所 兵庫県加東郡 ×
猫を使った実験、購入はしていない。
■金沢大学医学部付属動物実験施設 金沢市 中止
3年前の自治体からの払い下げ中止以来、実験動物用繁殖業者由来の猫以外の導入を禁じている。本学に出入りしている業者や研究者もこのことは周知し、当施設の外で非合法に捕獲された疑いのある猫の取引をしないよう指導している。施設の外で猫を飼っていた研究者も他大学へ転出するなどして現在はおらず、従ってこのような非合法に捕獲された猫はいない。
■山梨医科大学動物実験施設 山梨県中巨摩郡 ○
該当の猫はいない。当施設で使用しているのは、専門のブリーダーが生産した由来の明確なもののみ。動物福祉の重要性をかねてから認識し、医学研究に必要な場合に限って由来の明確な動物を使用している。
■トーアイエイヨー(株)福島研究所 福島市 ×
実験用としては猫は使用していない。
■三共(株)第三生物研究所 東京都品川区 ○
実験用に繁殖・飼育された専門の業者より購入したもののみ使用。医薬品の有効性・安全性を知る上で、実験は不可欠であり、実験動物は人類の健康・福祉に寄与する医薬品の開発研究に必要。当社でも倫理委員会を設け動物愛護・福祉の精神に悖らないよう厳重に管理しており代替法でも実施するよう努力している。実験専用に飼育管理されたものを必要最小限の数使用し、出来る限り苦痛を与えない方法をとるようにしている。
■藤田保健衛生大学医学部 愛知県豊明市 ○
センターの教授(責任者)に確認したことは以下の通り。1)3匹の猫はいずれもよく特徴をとらえられており、本学に来ればすぐ分かる。2)本年4月より愛知県動物保護センターからの犬、猫は使用禁止となり、以前よりそれを承知している。3)本学では犬、猫の実験をしている研究者は少ないが、3〜4年前から犬、猫での実験を差し控えるように通達をしていた。現在、猫は一匹いない。4)お尋ねの猫については、念のため過去4年間にわたり調査しましたが僅かな使用記録にも該当はなかった。
■(財)化学及血清療法研究所菊池研究所 熊本県菊池郡 ?
製薬メーカーのため種々の研究を行っているが、該当の猫が送られたということは決してない。万一悪質な業者から情報を得た場合はお知らせする。
■日本シェリング(株) 大阪府 ×
製剤の研究開発に猫は使用していない。また、猫取り業者が捕獲した猫を研究開発本部基礎研究部製薬会社に提供しているとの件、知る限りは製薬会社が飼い猫や野良猫を製剤の研究開発に使用したり、捕獲を業者に依頼しているとは聞いていない。
■大正製薬(株)総合研究所 東京都豊島区 ×
当社では猫を扱っておらず、猫以外の動物に関しても、どうしても必要な場合は実験動物として扱われているものを入手することになっている。もし、お尋ねの猫が何らかのルートで搬入されるようなことがあれば連絡する。
■興和(株)富士研究所実験動物管理課 静岡県富士市 ×
猫の実験はしていない。研究で用いる動物は全て実験動物として繁殖、生産販売されているネズミ、ウサギ、モルモット、イヌであり、イヌにおいては実験動物として生産、販売されたビーグル犬を主に米国より輸入しており、捕獲犬、払い下げ犬は使用していない。倫理、愛護面にも十分配慮して研究している。
■ノボ・ノルディスク・ファーマ(株) 東京都中央区 ×
当社は医薬品を本国より輸入し販売しているだけの会社であり、全く該当しない。
■栄研化学(株)生物化学研究所 栃木県下都賀郡 ×
当社は、検査等の診断用医薬品のみ扱っており、製薬とは違うので、猫を扱った動物実験はしていない。
■ヘキスト・マリオン・ルセル(株)開発研究所 埼玉県川越市
×
実験用の猫は現在一匹もいない。今年は使用する計画もない。また過去数年来猫を用いた実験はしておらず、やむなく動物実験は行っているが全て実験用として飼育繁殖されたものばかりである。倫理委員会において、動物福祉の観点から実験の妥当性を審議し、虐待または無意味な実験を避けるよう努めている。
■日本ケミファ(株)研究所 埼玉県三郷市 ×
猫を使用した実験は行っていない。
■帝京大学医学部 東京都板橋区 ?
当学には動物実験施設として、中央動物室及び小動物室の2室があるが、該当の猫の写真を回覧した結果、いなかった。
■東京薬科大学 東京都八王子市 ×
実験用として猫は扱っていない。
■(株)ツムラ研究開発本部 茨城県網町 ×
猫を実験に使っていない。例え動物を使用せざるを得ない場合があっても、その場合は実験用の特殊な動物を使用する。
■キッセイ薬品工業(株)開発企画部 長野県 ×
ここ5年間、猫を必要とする実験はしておらず、購入もしていない。ネズミ等の実験動物を使用しているが、これらの尊い犠牲に対し毎年慰霊祭を行い全研究員が参列し敬意を払うと共に冥福を祈っている。また犠牲を払わない方法(細胞や遺伝子組み替え利用)もできるだけ行っているが、代替が難しい場合が多い。押し付けがましい意見で恐縮だが、動物実験即反対ではなく、出来るだけ減らしていくようお互いに考えましょう。
■わかもと製薬相模研究所薬理研究室 神奈川県大井町 ×
過去10年来実験用としてネコを使用していない。
■東京田辺製薬(株)かずさ研究所 千葉県木更津市 ×
研究用に繁殖させたネコ以外は使用していない。
■ファイザー製薬(株)中央研究所 愛知県武豊町 ○
ネコは飼育していない。実験専用の業者から購入している。
■吉冨製薬(株)開発研究所 兵庫県福崎町 ○
一般の人が飼育していたと思われるネコは購入しない。
■スミスクラインビーチャム製薬(株)高崎研究所 群馬県高崎市
当研究所では動物実験は行っていない。
■科研製薬(株)総務部 東京都文京区 ×
研究部門(京都と静岡)ではネコを使用していない。実験専用の動物を使用。
■マルホ(株)中央研究所 名古屋市 ×
ネコは実験に使用したことがない。
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