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  HOME > アピール > 大阪府立大学からの回答  
 

アピール

AVA-net 122号  2007.1-2

社会が求める獣医学教育への転換を求める

質問/要望書に対して

大阪府立大学から回答


2006年8月末に大阪府立大学の獣医学部で飼育されていた犬が3頭、死亡および衰弱しているのが発見されました。当会では、府議会議員を通じて府立大学学長あてに「実験動物及び動物実験に関する質問及び要望書」を送りました(AVA-net121号掲載)が、このほど、その回答が寄せられました。(ALIVE大阪)


大阪府立大学における実験動物及び動物実験に関する

質問及び要望書に対する回答

大阪府立大学大学院生命環境科学研究科獣医学専攻主任 


 今般の実習供試犬の死亡に関して、獣医学を教育する機関として当該犬の取り扱いなどに関して不手際があったことは誠に遺憾であり、深く反省しております。また、動物愛護団体の皆様にご心配をおかけしたことについてお詫び申し上げます。

 さて、本件につきましては、平成18年9月14日、堺市による立ち入り調査を受け、現在、堺市の協力のもと、研究・実習供試犬の飼育登録に関する事項、その他実験動物の飼育管理について改善措置等を講じているところです。この点を踏まえ、貴団体からいただいた質問及び要望書に対し、以下のとおり回答いたします。

(質問事項

1.当該ビーグル犬の死因(3頭の死亡についての事実認識及び死因の特定)について

 今回死亡した実習供試犬3頭については、感染症罹患や外傷がないこと、毒物摂取の可能性も同時に飼育されていた5頭の状態から鑑みるときわめて低いこと、高温多湿環境にいたこと、死亡犬の身体が暑かったこと、生存犬の身体検査所見等から判断して熱中症で死亡したと特定いたしました。
 実習供試犬が熱中症で死亡するという重大な事故が発生したことを重く受け止めるとともに、深く反省し、今後、このような事故を繰り返さないようその対策を講じているところです。

2.飼育管理責任について

1)飼育状態と飼育日誌について

 給餌給水、清掃、運動は毎日1回実施していました。事故発生当時、動物実験実施細則では飼育管理簿の記載は義務付けられていませんでしたので、飼育管理簿は作成しておりませんでした。現在は、動物実験委員会が新たに作成した飼育管理簿に飼育管理記録を記載しております。

2)飼育管理の指揮体制について

 従来、当該機関における実習供試犬の飼育管理は当該実習担当教室の教員(教授、助教授、助手)によってなされていました。しかし、本年度は助教授の転出に伴い、教授と助手で、獣医臨床センターでの診療業務終了後に動物の飼育管理を1日1回実施していました。

3)熱中症になる可能性に関する認識について

 現在の飼育形態で長年事故が発生しておらず、熱中症発生の認識はありませんでした。今回の事故を受け、その危機管理体制に甘さがあったものと深く反省し、今後このような事態が起こらぬよう、現在執りうる改善策を実施したところであります。

3.実験動物の取扱いについて

 獣医学科の学生は将来、自ら適正な動物実験を行うことができるだけでなく、人に対して指導しなければならない立場になります。それゆえ、実験動物の適正な取り扱いを身につけるように教育しています。

1)動物実験を行う際の学生に対する事前の教育について

 1年次前期の獣医学概論、生物学?において実験動物学教室の教員が動物の愛護と管理に関する法律の解説、本研究科における動物実験実施に関する必要な手続き等、2年次には実験動物学A、Bにおいて実験動物学序説として適正な動物実験の実施、適正な動物飼育管理に関する講義を行っています。また、1年次後期の生物学実験では実習を開始する前に動物実験関連法規、基準、本研究科における動物実験指針等の解説ならびに適正な実験動物の取り扱いについて説明しています。
 学年次が進むとともに動物を用いた実習を多く受講することになりますが、その都度、実習担当教員が動物の取り扱いに関して説明しています。
 学生が教室(研究室)に配属された後の卒業研究では、指導教員が適正な動物飼育管理、動物の取り扱い及び動物実験の実施に関する指導を行っています。

2)動物実験に関する指針等について

 平成18年6月に文部科学省より「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」(以下文科省基本指針)が出され、本学においても文科省基本指針に対応するべく学内規程等の改訂を進めているところです。現在、生命環境科学研究科内に動物実験指針、動物実験実施細則、動物実験委員会規程が定められています。

4.犬の登録・注射について

 狂犬病の予防注射に関しましては、管轄の自治体である堺市より「学術研究用犬の取り扱いについて(衛乳第49号)」に基づき、「もっぱら学術研究に供されている犬に対しても狂犬病予防法は適用されるものであるが、予防注射を実施することにより、試験検査に支障をきたすような場合は正当な理由のある行為と認められるので、予防注射を行わなくても差し支えないものと認められる。」との指導を受けておりました。それゆえ、狂犬病の予防注射は行っておりませんでした。しかし、今後は、上記の除外規定を厳しく捉え、原則として予防注射を実施することにしました。犬の所有者登録につきましては、堺市の指導に基づき、登録手続きの準備中であります。

5.動物福祉・獣医倫理の教育について

 「獣医学教育において、動物の病理や生理的機能に関する知識の習得のみならず、動物の適正飼養や飼い主の責任と義務を身につけていくことがなされなければ、社会に出たときに獣医に求められる役割を果たすことができない。」というご指摘は尤もです。獣医師にとって、動物・生命に対する学問に裏打ちされた畏敬の思いは不可欠なものと認識しており、獣医師の誓い(獣医師会、1995年)を踏まえた教育を実施しています。
 本学獣医学科における教育科目の中で充てられている動物福祉、獣医倫理に関する時間は以下のとおりです。

  1年次  獣医学概論      1.5時間

       生物学実験      1.5時間

       生物学?        1.5時間

  2年次 実験動物学A      7.5時間

  3年次 毒性学          3時間

       獣医病理学診断実習  3時間

  3、4年次 野生動物医学   7.5時間

  4年次 獣医内科臨床       3時間 

       獣医外科臨床      4.5時間

       診断治療学       1.5時間

      特殊診断治療学     1.5時間

  5年次 総合臨床          3時間

      大動物臨床A       1.5時間

      大動物臨床B       1.5時間

(要望事項)

1.動物福祉、獣医倫理学に関する要望について

 大学の組織再編に伴い、昨年4月から新カリキュラムを進めているところであり、現時点では教育課程の中に、動物福祉学、獣医倫理学を必修科目として導入することは困難です。それゆえ、既存の授業科目において今までどおり、動物福祉、獣医倫理に関する講義時間を充てることで対応したいと考えています。今後、カリキュラムの変更が可能な時点で動物福祉学、獣医倫理学を必修科目として導入することを検討します。また、これまでどおり、一般社会の求める獣医師を送り出すように努めてまいります。

2.動物の飼育管理の責任体制を明確化、飼育日誌記載の義務化ならびに飼育管理に関する評価体制について

 今後このような事故を繰り返さないように、動物実験実施細則の改訂作業を進めることとしております。

 ○今回の事故発生に対する対応策として動物実験実施細則において飼育管理簿の様式を定め、犬の飼育管理において毎日の飼育管理記録を記載することを義務づけ。

 ○動物実験委員による動物の飼育管理が適正に実施されているかどうかの立ち入り検査を実施。

3.動物実験の事前審査ならびに文部科学省の動物実験指針に基く動物実験の実施について

 現在、学生実習も含め、本研究科内で実施される動物実験は動物実験委員会に実験計画の事前審査を受けて実施しており、文科省基本指針ならびに実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準(平成18年環境省告示第88号)に基いて行っています。
 ご指摘のように 、学生に実験計画書を作成させるのは重要であると考えられますが、動物実験の計画ならびに実施の責任を負うのはその動物実験を立案した教員です。それゆえ、動物実験計画書を作成する際の実験管理者は教員に限られています。

 

4.実験終了後の犬の処置について

 動物の愛護及び管理に関する法律において「動物が科学上の利用に供された後において回復の見込みのない状態に陥っている場合には、その科学上の利用に供した者は、直ちに、できる限り苦痛のない方法によってその動物を処分しなければならない」と定められています。
 ご指摘の通り、実験終了後に回復が見込まれる場合は、新たな飼い主探しをするなどの生かす方策を取ることは必要と考えられます。しかし「適正な動物実験を行うには動物の苦痛をできるだけ排除することだけでなく、「動物が苦痛を感じなくとも、関係者がむごいと感じたり、動物に苦痛を伴うと関係者に思わせる方法を避ける」ことも重要であります。このことを十分に理解したうえで飼育することのできる飼い主を探すことが必要です。また、新しい飼い主がそれを理解していても、その周囲の人がむごいと感じ、その飼い主が非難される可能性もあります。その展も十分理解したうえで飼育する意志のある新しい飼い主を見つけることができた場合には動物を生かす方策としたいと考えています。


 

 

 

大阪府立大への実験動物及び動物実験に関する質問及び要望書

 

 
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