獣医大学で動物福祉の授業はあるか?
日本には獣医大学・獣医学科のある大学は、全部で16あります。動物福祉、獣医倫理、生命倫理といった科目や講座があるかどうかを、インターネット、および入学案内によって調べたところ、たいへんお粗末な現状であることがわかりました。
(※見落としがあるかもしれませんので、これから獣医大学・学部への進学を希望している方や関心のある皆様はぜひ直接大学にお問い合わせ下さい。)
<国立大学>
・帯広畜産大学 なし
・北海道大学 なし
・岩手大学 動物権利論・動物福祉論(1講義)
・東京大学 なし
・東京農工大学 なし
・岐阜大学 なし
・鳥取大学 動物福祉論(選択科目)
・山口大学 なし
・宮崎大学 動物福祉学(3年前期、選択2単位)
・鹿児島大学 なし
<公立大学>
・大阪府立大学 なし
<私立大学>
・酪農学園大学 なし
・北里大学 獣医倫理・動物福祉学(4年後期〜6年次)
・日本大学 獣医倫理・動物福祉論(1年後期、必修2単位)
・日本獣医生命科学大学 獣医倫理学(5年次)
・麻布大学 動物福祉論(1〜3年次、動物機能利用論の選択科目)
16大学中、最も充実しているのは日本大学獣医学科です。同大学のHPによると、「獣医倫理・動物福祉学」は1年生の必修科目で2単位が取られています(担当:徳力幹彦教授)。テーマも獣医師の倫理、動物の利用と生命倫理、動物の愛護・福祉・権利に関する概念、伴侶動物の福祉、産業動物の福祉、実験動物の福祉、野生動物の福祉、世界獣医師会の動物福祉の宣言など、幅広く多岐にわたっています。
私立大学に比べて国公立の大学は動物福祉に対する関心が低いようです。これで日本の獣医学を国際水準まで引き上げることが可能といえるでしょうか。先進諸国では、獣医師は動物福祉の担い手として自他とも認め、社会的にもその活動が評価され高い地位を得ています。しかし、日本では依然として動物の地位が低く、それに故に動物に関わる職業の地位も低いままです。獣医師や動物に関わる人々が地位の向上を目指すならば、動物を家族の一員としている人々や動物の価値を尊重している一般社会のの人々を味方に付ける必要があるでしょう。獣医学教育は今の社会が求めている教育をしておらず、獣医師について一般社会が抱いているイメージとのギャップが開くばかりであることを懸念せずにはいられません。
⇒獣医学教育に動物福祉の導入を