AVA-net 116 (2006. 1-2) より
濱井千恵(御薗治療院代表、鍼灸師)
高病原性鳥インフルエンザ
世界保健機関(WHO)の李鍾郁事務局長が、発生時期は分からないとしながら、 「鳥インフルエンザのヒトからヒトへの感染は100%起きる」と断言しました。日本
のメディアはそれを受け、連日恐怖を煽るような報道が目立ち、国もタミフルの備蓄やワクチン接種を異常なまでに押し進めようとしています。しかし、ちょっと冷静になって考えると、H5N1型インフルエンザだけではなく、それ以外の予備軍の発生も十分考えられるのです。更にタミフルの安全性や有効性は、まだ十分確立されていません。
タミフルとは
タミフルはそもそもウィルスを攻撃できたり、予防できたりする薬ではないのです。単に発症48時間以内の投与ならウィルスの増殖を押さえられるというだけで、それ以降の投与には大した効果も期待できません。また飲まなかった人との差を検証もできないまま、日本は世界の生産量の約80%を消費しています。その副作用も大変問題になっており、世界では71人の死亡報告があり、日本でも服用後の異常行動により、2人の少年が死亡しています。*
この異常行動や幻覚は、既に日本でも64件報告されていて*、タミフルの治療使用添付文書にも、「耐性ウイルスの問題や患者の状態を十分観察した上、必要性を慎重に検討すること」と明記されていますが、どの病院でも多くの患者に使用し、その上二次感染を懸念して、ウィルスには無効と云われている抗生剤まで投与しているのが現状です。耐性ウイルス出現というリスク上、むしろタミフルの安易な使用は控えた方が良い、と日本に警告を出している病理学者もいるのです。
重大な副作用として「ショック、アナフィラキシー様症状」「肝炎」「肝機能障害」「黄疸」「皮膚粘膜眼症候群」「中毒性表皮壊死症」」「異常行動」「幻覚」、又、喘息、気管支炎、肺感染症、下痢、嘔吐など他にも20種以上にも上る症状が出ることに注意を向けるべきです。
またワクチンもインフルエンザのタイプが特定できない以上効果も薄く、接種してもインフルエンザに罹患した患者さんが多数当院にも来院しました。そのほか、アトピーが悪化したり、接種した腕が腫れるなど多様なアレルギー症状も出ています。その原因は安定剤などの成分として、アレルゲンになりやすい鶏卵やチメロサールという水銀化合物などが使用されているからです。
インフルエンザや風邪の予防
ウイルスとの戦いは、体の免疫力の効果的な働きに依存する事しかありません。インフルエンザにかかると4日程度発熱が続き独特の関節痛が出ますが、日頃健康な人なら薬を飲まなくても安静にしていれば回復するのです。
風邪の予防も兼ねて、日本独特の衛生習慣である「うがい」「手洗い」を普段から徹底することと、十分な睡眠を取り、体調を崩したときは「お粥」などを食べて、胃腸に負担をかけないことです。面白いことに、単なる「水うがい」を実施した人は何もしない人より4割も風邪の発症を減少したという発表がありました。また殺菌剤を使ったグループには、はっきりした予防効果は認められなかったそうです。
神社に参詣する前には、禊ぎの意味も込めて御手洗で必ず手を洗い口をすすぎますが、これは単なる宗教儀式ではなく、古代から感染症を予防する日本人の智恵だったのかも知れません。
手足の末梢循環マッサージ
更に免疫をアップする方法としては、姿勢と鼻呼吸はもちろんのこと、手足の指の先端や爪甲根部の遠心性マッサージを紹介します。
手足の指先中央には「十宣」、指の股には「八邪」という経絡とは別の奇穴という穴があります。これは感染症などにも効果があるといわれているのですが、
末梢からリンパ液の流れを促進させるからだと考えています。方法は図に示した通りですが、(1)は指の先端中央(爪の際)から左右に爪で押し、
(2)は一方の指で爪根部を強く挟み、爪先に向かって揉み、 (3)は爪根部分を挟んで左右に回転させます。最後は指全体をまんべんなく先端に向かってこすり、更に八邪を押したりつまんだりします。
特に足指を念入りに行うと、冷えやかかとの荒れが驚くほど改善され、足全体の肌も艶を増し、浮腫も取れます。肩こりが酷いときに手指の爪根部を3秒ほど洗濯ハサミで挟むと、非常に痛いのですが一瞬で楽になるときもあります。また咳が酷いときは、母指の爪根部外側(肺経の井穴)に少し盛り上がりが生じるので、それを爪で痛くなくなるまで押さえます。
当院の患者さんで85歳を越えても元気に現役で働いている方は、皆手足の皮膚が驚くほど綺麗です。これは末梢のリンパや血液の流れが健康を維持している証拠です。
重要な穴が手足の末端に集中しているのもそういう理由からだと考えます。最後に乾燥する冬は、冬至以外にも柚子湯に入ることをお勧めします。肌の皮脂が蘇り、血行も促進され、皮膚の免疫や排泄機能も高まります。流感にかからないための自助努力も必要ではないでしょうか。
つづく