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 HOME > 海外ニュース > 【イタリア】 薬害 ― 繰り返される物語  
 

海外ニュース

【イタリア】
薬害 ― 繰り返される物語

AVA-net News (2004.1-2)
翻訳:竹内

 2001年7月、抗コレステロール薬のリポベイが市場から回収された。少なくとも52名の死者を出したからだ。一方、世界の半分の裁判所で、莫大な額の損害賠償を求める訴訟が起こされた。

 2001年12月、巨大製薬会社ファイザーは、レズリンの投与によって被害を受けた一人の患者から提訴されていた訴訟を示談で終わらせた。テキサスの裁判所はその女性に4300万ドルの賠償金を認めた。レズリンは、糖尿病K型の治療に使われたが、63人の患者の死因となった肝臓障害の原因だとされ、1年前に販売中止になった。

 2002年3月13日の官報は、シブトラミンの販売を禁止するという厚生省の命令を掲載した。深刻な肥満症を治療する薬だが、健康に害があることがわかったのだ。この決定がなされたのは、国の薬物監視システムが約50もの有害な副作用の報告を受けてからのことだ。

 同じ頃、フィンランドの当局は、ニメスリドの販売を一時的に中止した。肝不全で一人が死亡したという報告を受けたからだ。フィンランドの薬品監視組織はすでに109もの有害反応の報告を受けていて、その内の66は肝臓に関するものだった。

 2002年7月、製薬産業ワイエスの株が19%凋落したというニュースが新聞で報道された。アメリカ政府が16000人の女性についての研究を発表した後のことだ。ワイエス社のプレンポという薬にせいで、女性の胸部腫瘍と梗塞をもたらすリスクが増すことがわかったからだ。現在600万人の更年期のアメリカ人女性が、突然のほてりを解消させるためにこの治療を受けており、売上は20億ドルになる。それにもかかわらず、この薬は市場から回収されなかった。

 これらのニュースは、市場に存在する膨大な数の薬品と両立して、散発的に起こるケースだと考える人もいるだろう。だがそうではない。

 ほとんどど総ての人はヴァイアグラが何かを知っている。だがそれが既にもたらしている害を知っている人はわずかかであろう。アメリカで販売が始まってから14ヶ月の間に、薬品の監視をゆだねられている国立機関、食品医薬品局は、1473人もの患者の報告を受けた。彼らはヴァイアグラ服用後の深刻な有害反応を訴えた。その内の522名は死亡、517名が心筋梗塞、199件の脳血管の発作、271件の低血圧又は失神、161件の不整脈。合計すると1670で、患者数より多いが、複数の反応を訴えた患者がいたからだ。ほどなく、死亡や深刻な心臓循環のケースが、オーストラリア、カナダ、オランダ、ドイツ他の国々でも報告された。現在その数は間違い無く増えている。深刻ではないが好ましくない影響もある。頭痛(11〜16%)、ほてり(4〜8.5%)、消化不良(4〜8.5%)、下痢(4〜5%)、視覚障害(3〜11%)、鼻のうっ血(1〜5%)、めまいもある。

 ヴァイアグラのように多くの人が受けた治療は、それだけ多くの有害反応を引き起こすのだと反論する人もいるだろう。しかしながら、発売からたった14ヶ月の間に1つの国だけで522名の死者というのは客観的に見ても多い。この薬がより多数の死者を引き起こすかどうか知るために、治療を受けた人の数と死亡者数との間の関係を計算してみよう。ヴァイアグラの場合は、100万の処方に対して49名の死者だ。同様の現在流通している治療から引き起こされた死者の割合と比較すると、注射用アルプロストラディルが4.5人。別のアルプロストラディルが1.5人、ヨインベが0.25人だ。要するにヴァイアグラは、同じトラブルに作用する物質ヨインベに比べると、200倍も多い死者を出すことが明らかになった。

 人間の健康に害のある薬品のリストは非常に長いものだが、しかし、致死性がなければ、新聞記事になる栄誉は得られない。これに関し、2つの伝染病学の研究の紹介が、意義深く説得力がある。その研究は、世界で最も威信のある医学雑誌とされているJAMA(アメリカ医学協会)誌上で、ここ数年間に掲載された。

 1つ目の、アメリカで行なわれた研究では、研究者たちは過去数年間に深刻な有害反応(死亡、死の危険、終身障害)を、服用した人に引き起こした薬品の割合を調べた。結果は当惑させられるものだった。技術的に最も進んだ国における動物実験を見事にクリアした薬品の51%もが、発売開始後に深刻な有害反応を引き起こしたのだ。この研究は、同様にJAMA誌に掲載された他の研究と関連づけられるだろう。その研究は、アメリカでは毎年平均10万人が薬の有害反応のせいで死んでおり、それが最も頻繁に起こる死因の4〜6番目になっていると確定した。

 これらのデータを照らしてみると、薬の強い毒性を明らかにすることを目的とした基本的研究方法は完全に効果がないこと、毒性が真にわかるのは、その物質が販売された後の直接の収集によると断言出来る。

 販売を認可されるために薬品はどのように実験されるのだろうか? 最初は、治療作用が働くと推測できる分子を合成する。続いて、その物質は精製され、薬として適切な形となり、安定性の管理がなされる。この時点で、その物質は動物実験される用意が出来ている。まずは、実験対象の物質が組織やシステムに及ぼした効果の研究を通じて、薬品的働きが評価される。また、形態と生物化学と生理学的(薬物力学)な変化が考慮され、さらに投与と代謝と排除(薬学動態学)の様式が評価される。

 引き続いて、物質の急性および慢性的投与を通じて、毒性作用の研究がなされる。動物への急性毒性テストでは、研究対象の物質を、量を増やしつつ服用させる。そして使われた動物を死に至らしめる量が計測される。この試験は通常、動物の半数が死ぬまで行なわれ、そのために致死量50(LD50)と呼ばれている。1927年に初めて行なわれ、今日まで実質的に変わっていない。

 一方慢性の毒性テストは、3ヶ月から数年の間、異なる量を繰り返し投与して、もたらされた効果の観察から構成される。急性にしても慢性にしても毒性試験においては、結果を比較出来るように、幾種類かの動物が使われる。最後に、あらゆる物質について、催奇効果、つまり、胎児の奇形を動物に引き起こす可能性が検討される。

 薬品の商業化のプロセスは、人間への実験で完結する。それを行なうにはまず、製薬産業は有志にお金を払ってテストしてもらう。続いて、患者が選ばれる。通常、大学の病棟に入院している患者だ。人間への実験は そこそこな頻度で生じる(証明させる)副作用を呈する可能性がある。しかし非常に稀な副作用ではない。なぜなら新薬の実験をされる人間が決して膨大な数ではないからだ。人間への実験は、その薬で治療可能かを見せることを一番の目的とする。したがって、毒性や対立反応の評価は動物実験にゆだねられる。だがこれまで見てきたように、動物実験は信頼できるデータを供給する段階にはないのだ。

 動物実験では予見できない有害反応のせいで最近の薬品の引き起こす被害は言うまでもなく、薬品の商品化の過程を明るみに出してみると、動物実験は完全に廃止され、科学技術の進歩に合致した他の方法に替えられるべきである。 

LAV(イタリアの動物実験反対団体の機関紙) 2002.10月号より

 

 

 
 
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