【イタリア】
動物実験に「ノー」と言う新条例
AVA-net News (2004.1-2)
翻訳:竹内
エミリア・ロマーニャ州議会で先週新しい条例が承認され、8月1日の公報に掲載され、翌日から発効になった。
その新法は56頭のビーグル犬のいきさつから生まれた。数ヶ月前にボルツァ−ノに停車中のトラック内にいた彼らは、サン・ポロ・ディ・エンツァのモリーニ飼育場からハンブルグの化学薬品工業へ向かう予定だった。その後、地元の日刊紙「ドロミテン」に引き取られ、大きなキャンペーンの末、新しい家族に預けられた。
以下に全文を掲載するように、新条例は、動物実験目的の犬と猫の飼育とテストを禁止している。そのため、モリーニ飼育場(彼らはいずれにせよラットやウサギの繁殖を続けられるだろう。ショップや個人向けのビーグル犬だけでなく)以外の飼育場、及び幾つかの大学や薬品産業や獣医にも該当する。さらに、例外を除いて、教育の場での実験禁止も定めている。また、動物を使わない代替実験法の研究用に基金設立を想定しているが、次の予算法でのみ計上されるだろう、幾つかの面で象徴的な決議だ(飼育場と研究室にとっては、100km移動して他の州へ行けばすむ)。しかしながら、他のものより非常に具体的だ。
唯一の同様な前例は16年前にさかのぼる。当時のペテルリーニ評議員が提案した動物保護に関する総則で、自治県ボルツァーノは、1986年、領土内における動物実験を禁じた。
この条例は教育目的での動物実験を禁じているが、適用除外のために大学とのプロトコールにサインすることもありうると想定している。発案者のグエッラ州議員はこう表明した。「我々は動物実験の総ての形態にノーと言う法律を望んだのです。動物の種や、実験をする主体に左右されずに。しかし、まだ抵抗や不安があることは理解しています。」
同じく発案者のネルヴァーニャ議員も歓喜している。「今日、我々は動物保護と彼らの尊厳の救済という行程における大きい前進を、成功の内に果たしたのです。法律が実行され尊重されているかを、権威ある機関が注意深くコントロールすることが必要です。」
エミリア・ロマーニャ州動物実験法
第1条 目的
第1項 エミリア・ロマーニャ州は、生きた動物の使用にたよらない革新的実験方法の普及を通じて、実験目的や他の科学的及び教育目的の使用から、動物を保護することを推進する。
第2項 第1項に示されたことを実行するために、州は大学や研究機関と同意を形成する。
第2条 禁止
第1項 エミリア・ロマーニャ州の領土内においては、いかなる名目においても犬と猫の実験目的での繁殖、使用、譲渡を禁じる。
第2項 同様に、第1条第2項の同意の範囲内で州の認可を受けた場合を除き、教育目的でのあらゆる動物への実験を禁じる。
第3条 処罰
第1項 第2条の定めるところに違反した者には、それが犯罪を構成しない場合には、15,000ユーロの罰金、再犯の場合は最高45,000ユーロ、を課す。いずれの場合も動物は押収される。
第4条 監視
第1項 第2条第1項に関する監視と管理の職務は県や市町村、地方保健局によって実行される。地方自治体と交わした取り決めの範囲内で、ヴォランティアの動物監視員、生態監視員らの協力を活用することが出来る。
第2項 第2条第2項に関する監視と管理の職務は州が実行する。
第5条 財政面の規則
第1項 第1条第2項についての同意に伴って、現法を施行するにあたって派生する負担、研究補助金、卒業論文や専門論文の報奨制度、州によるその他の企画などについては、州の予算の支出部分の中にそのための条項を設けることで対応する。その条項は、年間予算の承認において必要な資金は配備されるという基本を監査する統合の中に位置付けるべきである。
第6条
第1項 現法は憲法第31条の効果のため、緊急に宣言され、エミリア・ロマーニャ州公報への発表の翌日から効力を発する。
モリーニ飼育場は新しい条例に違反し罰金処分に
「モリーニ社の認可取り消しをこれ以上延期することは出来ない。」
9月初め、エミリア・ロマーニャ州の市民弁護人は、サン・ポロ市の市長と地方保健局にそう知らせた。8月にモリーニ社の販売した犬の購入者が薬物実験の会社だったことが、森林警察によって確認されたのだ。つまり、モリーニ社は8月1日以降も州法に違反して、実験目的での犬の飼育を続けたのだ。送り先の製薬会社のうち、2社はポメツィア(ローマ)にあり、「リサーチ・トキシコロジー社」は、8月6日に76頭の犬を購入、「シグマ・タウ株式会社」は8月23日に10頭のビーグル犬を購入した。残る1社のカターニアの「ワイエス・レデルレ株式会社」には8月19日に26頭の犬が運ばれた。この3回の輸送のために、モリーニ社は35,000ユーロの罰金を支払わねばならない。
LAV(イタリアの動物保護団体の機関紙) 2002.10月号より
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