イギリス政府は動物実験について
これまで以上の情報公開を検討
AVA-net News No.98 (2003.3-4)
訳:宮路
エインスワース内務相は動物科学実験委員会が提出した科学実験に使われる動物についての報告書は、動物実験に関する貴重な議論を提供していると述べ、報告書にたいするイギリス政府の正式な見解と、動物実験に関してこれまで以上に質の高い情報を公開することについて研究界の意見を求めていくことを表明した。
エインスワース内務相は次のように述べている。
動物科学実験委員会の報告書は科学実験における動物使用の問題を健全に分析し、効率的かつ効果的な規制の必要性と科学実験に関するこれまで以上の情報開示の必要性との間のバランスを保つうえで有効な方法を提供している。
政府は動物実験が医学・獣医学の発展、人類と環境の保護のために必要なものであるという委員会の結論に同意する。
動物(科学実験)法1986はこの種の法律としては世界で最も厳格なものであると広く認識されており、動物実験を許可する際に厳しい基準を設けている。
1987年以来、実験に使われる動物の数の減少、そして政府と科学界が確立した実験動物の福祉という概念において著しい進歩を遂げたことを忘れないようにすることが重要である。
また、エインスワース内務相は、動物実験に関連して厳密に適用されている「3つのR」に対する政府のコミットメントを再確認し、次のように述べている。
政府と当該機関は3R―動物実験を可能な限り代替法に置き換える (replace)、実験に使用する動物の数を減らす(reduce)、動物の苦痛を最小限に抑えるよう実験方法を改善する(refine)―
をさらに効果的に適用するために最善の努力をしている。
政府は委員会が提案する3Rのための研究センター設立を検討するが、これは独立した活動ではなく、要となる研究プログラムの一環として展開されるべきものである。
政府は研究界に以下の事項について意見を求めていく方針である。
科学研究とそれを行なう理由について一般市民により多くの実質的な情報をどのように提供するか。
「機密節」として知られる動物(科学実験)法1986の24節は動物実験に関する機密情報を内務省官僚や職員が許可なく開示することを禁じているものであるが、今後この節をどうしていくのか。
エインスワース内務相はこれらについて次のように述べている。
政府は動物実験許可を受けた計画について情報開示を行なうのは重要な前進だと見なしている。もちろん、これは個人情報や機密情報を保護する必要性と慎重にバランスを取らなくてはならず、実施については科学界に詳細な意見を求めていく。
情報公開法によって保証されている保護を鑑みて、動物(科学実験)法1986の24節はすでに冗長なものとなっている。
しかし、委員会の提案に従ってこの節を削除することについて科学界が非常に憂慮していることは認識している。よって、24節の今後の扱いについては最終決定に至る前に科学界の意見を求めていく。
(UK Home Office New & Press Release)
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