けれど、私たちが自分の体内に取り入れるものに対する意識は高まりつつある。口蹄疫騒動についてあえて明るい側面をあげるとすれば、あの件以来自分が口にするものや、その産地がどこかについて、消費者が以前より関心を持つようになったことだ。
オーガニックな美しさを求めるのは、オーガニックな食生活の次にくる論理的な選択だろう。なんといっても、私たちの肌はモイスチャライザー、ファンデーション、香水、シャンプーなどの成分を文字どおり吸い取っているのだから。これまで私たちの肌は毒素をシャットアウトし吸収しないと思われていたが、実はそうではないようだ。実際、皮膚は血管への最短ルートと見なされ、より多くの薬品が皮膚を通してして血管に送り込まれている。であれば、化粧品だけが違うはずがない。
化粧品は無害ではない。そのいい例は、先ごろMovidaのヘアカラーを使ってアナフィラキシーショック(即時型過敏反応の一種)を起こし、死亡した若い母親だ。彼女の反応は極端で異常なものかもしれないが、化粧品に含まれる化学薬品が私たちの身体に影響を及ぼすということをはっきりと証明している。
「オーガニック・ビューティ」という本の著者ジョセフィン・フェアリーによると、大量生産されている化粧品の多くはGM(遺伝子組み替え)製品、たとえばトウモロコシや大豆などを原料に含んでいるという。
フェアリーは、自然なものだけを原料にした化粧品を使うためには、自分で作るのが最良の策だが、忙しくそのような時間がない人のために、市販されているものの中から自然原料を使用している化粧品を見分ける方法をアドバイスしている。
まず覚えておかなくてはならないのは、宣伝文句をそのまま鵜呑みにしないこと。パッケージにオーガニックだの自然だのとうたっているからといってほんとうにその通りだという保証はない。成分表を見て、オーガニック、あるいは自然原料が表の末尾のほうに表示されていないか(つまり使用量がわずかだということ)確認すること。よくわからない場合は、成分表リストの原料の数があまり多くないものを選ぶのもひとつの方法だ。本当に自然なものを使おうと心がけている会社はあれこれとたくさんのものを使わない。
動物実験をしている製品を避けたい場合(海外からの輸入品には動物実験をしている製品も多い)は、動物実験に反対する英国連合(BUAV)に連絡をとれば動物実験をしていない化粧品会社のリストをくれる。また、動物実験をしている化粧品会社に手紙を書き、その会社の製品を購入しない理由を知らせることも必要。
一般消費者が動物実験反対の傾向にあると化粧品会社が感じ始めなければ何も変わらない。また、オーガニック・ビューティを目指すためにはそれなりの化粧品を選ぶだけでなく、食生活にも気を配り、定期的に運動し、水分もたっぷりと摂らなくてはいけない。