【イギリス】
古い骨が役立つ大学の背部痛研究
AVA-net 海外 ニュース No.148 2011-5-6 翻訳:宮路正子
100年も前に亡くなった人の骨が、慢性背部痛の新しい治療法を開発するために使用されている
この研究では、リーズ大学で開発されたコンピューターモデル・テクニックと、ブリストル大学の考古学や人類学の専門知識を使って、博物館や解剖学教室から集められた40の骨格標本の分析を行っている。
デイヴィッド・ウィレッツ科学相は、古い骨と最新技術がいっしょになることで患者が恩恵を受けるのは素晴らしいことだと述べている。
<“素晴らしい“研究>
この5年計画のプロジェクトは、工学・物理科学研究会議(EPSRC)から110万ポンド(約15億円)の助成金を受けることになっている。
まず、さまざまな種類の脊椎症状と背骨の大きさや形態の差に関するデータを革新的なコンピューターモデルに入力し、次に、これらのモデルを使って、脊髄の鍵穴手術や人工のディスク交換のような新しい治療法やインプラント材料のインパクトの可能性を臨床試験に先立って評価しようというものだ。
研究者は、モデルが最終的に、それぞれの患者に最適な治療のタイプを正確に示すことができるのを期待している。
「背部痛に苦しむ人はとても多いですが、背骨は人によって少しずつ違うので、新しい治療法の開発はほんとうにむずかしいのです。この投資が世界中の多くの人々の生活の質を著しく向上させる可能性があり、この研究がイギリスで行われているのは素晴らしいことだと思います」とウィレッツ科学相はいう。
<より迅速なトライアル>
このようなソフトウェアが背部痛治療のために設計されるのは初めてのことであり、研究はまた、現在長いものでは10年かかる新しい治療法のための臨床試験の過程をスピードアップする。
プロジェクトリーダーであるリーズ大学のルース・ウィルコックス博士は、企業が新製品計画を持ち込めるようにし、大学の研究者がさまざまな種類の背骨でそれがどのような効果を示すかをシミュレートするつもりだという。
コンピューターモデルの良いところは、繰り返し使用できるので、同じモデルでたくさんの異なる製品を試験できるということで、もし、この研究を実験室で行っていたら、ひとつの治療法を試すたびに新しい背骨が必要になっていただろうという。
2011年3月1日 BBC News
http://www.bbc.co.uk/news/uk-england-12606144
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