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 HOME > 海外ニュース > 動物実験調査で多くの実験に問題ありと判明  
 

海外ニュース

【イギリス】

動物実験調査によって多くの実験に
問題があることが判明

動物実験を支持していようと嫌悪していようと、
きちんと行われているかどうか知ることが重要

AVA-net 海外 ニュース  No.142 2010-5-6 翻訳:宮路正子

 今、これを読んでいるあなたは多くの人同様、祖父の墓を掘り返されたり、家に放火されたりなどしたくないと、動物実験について意見を述べることを躊躇しているかもしれない。動物実験は必要だが、きちんと規制されなければならず、イギリスは世界でも最も厳しく規制されている国のひとつだ。

 しかし、動物が適切に扱われているか、あるいは実験が必要なものであるかを評価するのは簡単だが、それとは別の問題がある。研究が適切に行われているか、研究の結果がきちんと分析されているかという問題だ。その答えがノーであれば、動物は苦しみ、苦しむことが動物にとってどういうことなのかは人によって解釈が異なるだろうが、その苦しみが無駄になることがある。

 英国国立3Rs動物実験代替法センター(NC3Rs)は2004年に政府によって設立された。NC3Rsは、最近発表された動物実験による生物医学研究の報告、実験計画、統計分析に関する組織的調査研究を学術誌PLoS Oneに発表したが、その調査結果は芳しいものではなかった。

 調査は綿密に行われ、調査対象の論文には行動学、食習慣、薬品・化学物質試験、免疫学実験など、公的資金の援助によるさまざまな研究があったが、見つかった不備には考えられないようなものもあった。論文の4パーセントは使用した動物の数をどこにも記述していないし、使用した動物の数を記述している48の論文を詳細に調べてみると、どうしてその数の動物を使用したのかひとつとして説明されていなかった。論文の35パーセントでは、実験方法についての記述の中で使用した動物の数を挙げているが、結果のところでは使用数が異なっていた。これはかなり支離滅裂だ。

 また、実験結果の偏りを減らすために、ランダム(無作為)化や盲検法(割り振られた実験の内容を実験者が知らない状態で実験を行うこと)などの基本的な対策を取った研究がどれだけあるかも調べた。

 例えば、ある実験方法を別の方法と比較するのに、動物をランダムにグループ分けしなければ、無意識により強い動物を潜在的にメリットのある実験方法を行うグループに入れてしまう、あるいはその逆をしてしまう可能性もあり、その結果、実験結果を歪めてしまう。

 そして、盲検法を適用しなければ、実験者は、どの動物がどの実験に使用されたか知ることになるので、測定の際に非常に近い数値のものがあったとき、無意識にとはいえ、その知識に影響されるだろう。あるいは、自分がどのような実験を行っているのか分かっているので、血圧が高いことを予測していれば、実験結果の血圧が高いときにはそのまま受け入れるだろうが、血圧が低いことを予測したときに血圧が高い結果が出れば再確認するだろう。

 調査の結果は、動物実験でランダム化を取り入れているのは12%、盲検法は14%に過ぎなかった。そして論文もお粗末なものが多く、未加工の生データを含んでいるものは8%に過ぎないが、これがなければ読み手が実験について自分で分析をすることができない。また、論文の半分は個々のグループの動物の数を表に入れていない。

 私はコリン・ブレイクモアの娘たちと幼馴染だ。ブレイクモアはオックスフォード大学の神経科学者で、自分の身に降りかかる危険を承知で動物実験擁護を公言している。私の初キッスは、ブレイクモアの娘のひとりとではなかったが、同じように研究者を親に持つ少女と、2人の身辺警備の警官の前でだった。

 15歳の少女の命を脅迫したり、その父親を監禁すると脅したりするような人間は軽蔑にも値しないが、だからといって、動物実験の現状がこのままでいいわけではない。

2010年1月23日
The Guardian UK
http://www.guardian.co.uk/science/2010/jan/23/ben-goldacre-bad-science


 

 

 

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