AVA-net 海外 ニュース No.139 2009-11-12
翻訳:宮路正子
イギリスの動物実験使用動物数統計2008年(要旨)
イギリス内務省が公表した2008年の動物実験数と実験動物使用数の報告書の要旨:
(注) 特に注釈が付いていないものに関しては、数字は科学実験に使用された動物数ではなく、動物を使用した実験数。複数の動物を使用する実験を行う研究は、動物ごとに加算される。
ある実験に使用された動物が完全に回復し、別の実験に再使用された場合には、実験は別々に数えられるが、動物は再度数には加えられない。
この種の動物の再使用が許可される条件は限定されている。
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2008年には、370万弱の動物実験が新たに行われた。2007年と比較すると45万4000件(14%)増加している。魚類(27万8000件/85%)、マウス(19万7000件/9%)、両生類(1万5000件/81%)、ブタ(3600件/114%)、ヒツジ(3100件/9%)、七面鳥(1500件/135%)の使用が増加したのが主な理由である(括弧内は2007年から増加した件数と割合)。
人間以外の霊長類の使用も約600件(16%)増加しており、これは旧世界ザルの使用が約1000件(33%)増加し、新世界ザルの使用が約400件(53%)減少したためである。
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他の動物種を使用した動物実験は減少しており、特にラットでは30,000件(8%)、家禽では5100件(4%)、モルモットでは2600件(8%)、ウサギでは2500件(13%)、ビーグル犬では1200件(17%)の減少となっている。
<3>
ほとんどの実験では、マウス、ラット、その他の齧歯動物を使用しており、全体の77%を占めている。 魚類と鳥類は、それぞれ17%と3%の実験に使用された。
マウスと魚類の使用がもっとも増加したのは、基礎生物学研究、医学・歯科学の応用研究、繁殖研究の分野である。
法律上、特別な保護を受けている犬、猫、馬、人間以外の霊長類は、合わせて動物実験全体の1%弱において使用された。
<4>
遺伝子有害変異動物と遺伝子組み換え動物生産のための繁殖研究は、2008年に開始された実験総数の2分の5近く(140万件/38%)を占めている。
<5>
動物実験法に記載されている動物種で行われた実験の99%は、イギリス国内の指定供給先から取得した動物を使用している。
<6>
370万の実験総数のうち、190万の実験で正常な遺伝子を持つ動物を使用しており、16万件(9%)の増加となっている。これは主に基礎生物学研究と応用研究における魚類とマウスの使用が増えたためである。
遺伝子有害変異動物を使用した実験は40万件と11万件(35%)も増加しており、使用された主な動物種は齧歯類、魚類、両生類となっている。遺伝子組み換え動物を使用した実験は130万件と18万6000件(16%)増加しており、使用された主な動物種はマウスと魚類で、99%を占めている。
<7>
35%の実験で、侵襲による苦痛の程度を軽減するために何らかの麻酔が使用された。その他の実験の多くでは、麻酔の使用は、実験に悪影響を及ぼす恐れがあった。
<8>
非毒性試験は、2008年に着手された実験の87%を占めている。1995年には全体の75%だった。その主な分野は、免疫学研究、薬品の研究・開発、ガン研究、解剖学、生理学だった。
<9>
毒性試験は、2008年に着手された実験の13%を占めている。1995年には全体の25%だった。その数はここ数年減少していたが、2008年は16%増加している。2008年に行われた毒性試験の大部分(79%)は、薬品の安全性と有効性評価のためだった。2008年に行われた毒性試験の3分の2(66%)は齧歯類を使用しており、人間以外の霊長類の使用は1%以下だった。2008年に行われた毒性試験の71%は、法律あるいは基準で義務付けられたものだった。
詳細:
Statistics of Scientific Procedures on Living Animals
Great Britain 2008
http://www.homeoffice.gov.uk/rds/pdfs09/spanimals08.pdf
英内務省動物実験情報:
http://www.homeoffice.gov.uk/rds/scientific1.html