【イギリス】

AVA-net 海外 ニュース 　No.128　2008.1-2

翻訳：宮路正子

最新の統計によると、イギリスはヨーロッパにおいて、研究実 験で最も多く動物を使用している２つの国のひとつだ。

トップはフランスで、２３０万匹の動物を使用し、イギリスは２番目で１８７万匹となっている。ドイツは１８２万とイギリスに至近で３番目だが、この数字は前年より１２パーセント減少している。

これらトップ３の国での動物の使用数は、EUにおけるすべての動物実験の５０パーセントを占めており、EU全体では、１２００万以上の動物が実験に使用された。

２００５年の統計が現在、最新のものだが、新たに加盟した１０ヶ国の数字を含まなくても、使用動物数は３．２パーセント増加している。

６０パーセント以上の動物は、医学、獣医学、歯科学の研究開発と基礎生物学研究に使用された。

動物実験の１５．３パーセントは、医学、獣医学、歯科学の薬品と装置の製造および品質管理に関わっており、８パーセントは毒物学や他の安全評価関連の研究だ。

このEUの数字は、発表されると同時に、動物実験を削減するという誓約を守らなかったと動物保護活動家たちに非難された。

動物実験廃止のための英国連合（BUAV）の最高責任者ミシェル・スーは、EUの実験室で苦しむことを余儀なくされた動物たちの数がこの１０年で最多になったことにショックを受け、愕然としている、と述べている

「２１世紀に、世界でも最新の研究施設のいくつかが、未だに暗黒時代に属する研究に何千万という公的資金をつぎ込んでいるのは、倫理的に弁解の余地はありません」とスーはいう。

また、動物実験廃止のための活動を行っているイギリスの代表的医学研究関連団体であるドクター・ハドウェン・トラストは、イギリスの数字は恥ずべきものであり、実験に使われた遺伝子組み換えマウスをこの統計に加えていたら、イギリスは一位だっただろうとコメントしている。

同団体のウェンディ・ヒギンズは、この統計は、政府が実験動物の苦しみを減少させることに完全に失敗したことに対する悲しい告発であり、２１世紀になってもイギリスは他のEUのほとんどの国よりも多くの動物を殺しており、動物は必要不可欠なときにしか実験に使われないと内務省が保証しても空しく聞こ
えるだけだ、という。

イギリスの数字は、２００５年には１８７万匹の動物が初めて実験に使われたことを明らかにしているが、これは２００２年の報告と比べると５７０００匹の増加であり、１８７万のうち７８パーセントの１４６万３５６５匹はマウスとラットだ。

また、冷血動物(魚類、両生類、爬虫類)は２０万３１７３匹で使用された動物の１１パーセントを占めている。

猫、犬、馬、人間以外の霊長類はイギリスでは特別な保護が与えられており、使用動物総数の０．５パーセントを占める９１０４匹が使用されたが、これは２００２年より８４１匹少ない。

人間以外の霊長類では、３１１５匹が使用され、０．１６パーセントを占めるが、２００２年より５８匹少ない。

フランスは、３７８９匹とEU内でも最多数の霊長類を使用し、犬は５５００匹使用した。

EU全体で使用された猫の数は３６００匹と４．８パーセント減少している一方で、使用数の増加が最も大きかったのはハムスターの４１パーセントだ。また、マウスは６百万匹が使用された。

２００７年１１月８日
Telegraph.co.uk
http://www.telegraph.co.uk/earth/main.jhtml?xml=/earth/2007/11/08/
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