AVA-net 海外 ニュース No.126 2007.9-10
翻訳:宮路正子
過去20年間、ヨーロッパは世界に先駆けて製品開発における動物実験を代替するために尽力してきた。新しい検査法の開発と品質アセスメントのためのEU
の資金が、EU研究枠組プログラムを通して最先端の研究プログラムに割り当てられ、欧州委員会の研究総局(DGRTD)と共同研究センター(JRC)が調整を行っている。
DG RTDとの協力で行われる研究活動は新しいアイディアの開発に集中し、JRCはそれらの有効性を欧州代替法評価センター(ECVAM)を通して確立す
る。EUの化粧品化学薬品法のため、また、創薬に関連する煩雑な手続きを避けたいという願望から、最近これらの研究のスピードアップを求める声が増している。
現在、ECVAMは合計で13のプロジェクトに積極的に関わっている。これらのプロジェクトは第6次研究枠組みプログラムからの出資による8000万ユーロ(約130億円)と260以上の協力団体との共同作業によって進められている。ECVAMによれば、これらの開発活動は化学物質に関する法律であるREACHなどの関連するEU規制と結び付いているという。欧州委員会の意向は、ハイテク研究開発と評価技術に効率的に投資することによって動物実験
を大幅に減少させることだ。
近年のバイオテクノロジー革命は、動物実験に取って代わる新しい解決法を作り出す革新の波を起こす引き金となった。もちろん、それが中小規模企業にとって意味する付加利益は言うまでもない。例えば、DGRTDとJRCが共同で行った最近の研究は、4つの新たなテスト方法を開発し、評価時間を半分に短縮させた。これらの新たに開発された、パイロジェン
( 発熱物質)という細菌汚染検出のための分析評価法によって、毎年ヨーロッパにおける動物実験に使用されるウサギを20万ほど削減できる可能性がある。
最も興味深いのは、この方法が、これまで適切な試験法が見つかっていなかった、新しい細胞治療にも適用できることだ。
これらの新しいプロジェクトは意欲的な目標を掲げており、急性経口中毒(例えばある薬品をどの程度摂取すると危険か、というような)、胚毒性試験(胎児
へのマイナスの影響)、アレルギー反応、ガンなどに関する動物実験を削減、あるいはさらに進んで完全に廃止することを目指している。これらのプロジェク
トの枠組みの中では、産業における化学物質、消費財、薬品によって引き起こされる可能性のあるほとんどすべての健康への影響が効果が取り上げられており、細胞や組織の培養、センサ技術、コンピュータ・モデリング、イメージング技術などの様々な技術を効率良く組み合わせて採用している。
以下のECVAMが動物実験削減を目指す現在進行中の研究プロジェクトは、広範囲に及ぶ人間の健康問題を対象としている。(カッコ内はプロジェクト名)
・新薬の長期使用における毒性(Predictomics)
・ヒトの繁殖および遺伝子構造への物質と化学物質の影響の評価(Reprotect,
Alterscreen, Comics)
・ヒトと動物への化学物質の影響(A-cute-tox)
・ヨーロッパにおいて重大な健康問題である肺病(Pulmo-net)
・皮膚の感性と刺激性。2009年以降、化粧品の動物実験がほぼ禁止になるので、消費者の安全を保証するためにこの分野における代替法は重要だ。
・ガン-代替法を用いての化学物質や化粧品の発ガン性の評(Carcinogenomics)
他のプロジェクト(Osiris, Tox-Dropなど)はREACHが設定した化学物質の規定手順について取り組んでおり、必要最低限の動物を使用する実験で物質の人間に対する安全性を確立できるテスト方法を提案している。
ECVAMのプロジェクトについては以下のサイトを参照
http://ecvam.jrc.cec.eu.int/index.htm
2007年4月25日
Source of information: Midday Express
Businessupdated.com
http://www.businessupdated.com/shownews.asp?
news_id=2388&cat=Research+for+reducing+animal+testing