細胞毒性測定試験に動物実験はもう必要ない
AVA-net 海外 ニュース No.125 2007.7-8
翻訳:宮路正子
2007年4月11日
ヨーロッパでこれまで以上に多くの動物実験実施が必要となる この時期、科学における飛躍的進歩が新薬開発研究に真の動物
実験代替法を提供。動物実験よりも迅速でコストのかからない方法が可能に。
英ブリストルにある西イギリス大学(UWE)の科学者チームは、 バイオ関連の大手健康管理研究会社Kaikuと共同で細胞毒性測
定の技術を開発した。この技術は薬物評価と毒性試験における 動物実験の必要性をなくすものだ。
細胞の電気的特性は、その構成と、細胞そして細胞小器官内の 様々な細胞膜における電荷分布によって決まる。UWEがKaikuと
共同で行った研究は、細胞の電気的特性における変化を測定することにより、有害化合物の毒性の影響を従来の動物実験プロトコールより迅速に評価できることを示し、同様の結果を達成
するための動物使用に関する道徳的議論を無効とするものである。
共鳴インピーダンス測定という新しいインピーダンス測定方法を用いた新技術は、細胞培養システムを使用することによって、存在し得る医薬品の毒性を倫理的に評価すると同時に、時間と費用を節約することができる。
EU法により、2018年までに産業において使用されるすべての化学物質の毒性を評価・特定しなければならないと定められた。これは、期限内に3万以上の化学物質を試験する必要があるということで、これまでのやり方であれば、この目標を達成するために無数の動物を使用する必要がある。このような状況において、この新技術は特に重要だ。テストは2008年に開始される予定なので、できるだけ早くこの新技術を導入し、毒性テストの動物実験の置き換え、使用される動物の数の削減を行うことが重要だ。
UWEのリチャード・ラクストン主席講師が言うように、置き換え、苦痛の軽減、数の削減という3Rを支持し、動物実験を代替することは、イギリスそしてヨーロッパにおける研究の重要なテーマであるが、現在、技術はすでにその領域を越え、科学者との間に軋轢を招くような類の社会的かつ道徳的な活動を支援
できるところにまで来ているのだ。
欧州レベルにおける毒性評価のための代替法の開発・導入はecopa (代替法に関する欧州コンセンサス・プラットフォーム)という非営利の民間団体が監視している。ecopaは国レベルのコンセンサス・プラットフォームをその傘下に置き、加盟国における動物実験代替法を促進している。
Kaikuの技術部長アムラーニ博士は「この新技術には真に道徳的な側面がある。ヨーロッパの立法者は学芸団体や商業団体の区別なく最前線にある動物実験という巨大なプログラムへと急き立てているが、この技術があれば、どのような社会的葛藤も取り除く方法で実験を行うことができる」と述べている。
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