【アメリカ】
米、疾病管理予防センター、動物の飼養改善へ努力
AVA-net 海外 ニュース No.122 2007.1-2
翻訳:宮路正子
アメリカの公衆衛生機関CDCは、昨年、実験動物管理評価認定協会(AAALAC)による検査の結果、6頭のサルの死亡が明らかになるなど、実験動物の飼養状況が問題となり、認可取り消しの可能性を通告されて以来、300万ドルを費やし飼養状況を大幅に改善したという。
CDCは、1967年以来、自主的な認可プログラムによって科学における動物の人道的な扱いを促進する私設の非営利団体であるAAALACの検査を自発的に受けている。AAALACの検査は法的に義務付けられているものではないが、ここの認可を得るとトップクラスの科学者を誘致する役に立つのだという。
AAALACの検査結果は以下の通り。
- 2004年、給水管が機能せず、数頭のサルが水を飲めない状態に置かれ、ヨザル一頭とアカゲザル一頭が脱水症状により死亡した。
- 2005年、記録保管とコミュニケーションの問題が原因で、アカゲザルが誤って殺処分された。
- 麻酔剤と鎮痛剤の調合剤を与えられた3頭のアカゲザルが死亡した。投与量は既成のガイドラインに沿ったものだったが、これを機にCDCは新しい基準を採用した。
- 獣医師が実験動物に容易に近づけなかった。
- 動物の世話をするための職員が不足していた。
- CDC職員が見ることの出来ない動物の医療カルテもあり、また記録が不完全なもの、記録されなかったものもあった。
-齧歯動物やウサギが過剰に収容されているケージが数多くあり、また小さすぎるケージに入れられている動物もいた。
- 衛生装置の故障により汚れたままのケージがたまっていた。
AAALACの報告書を受けて、CDCは実験動物の飼養を長官室の管轄へ移し、動物の世話をする職員を20人ほど増員したという。アトランタ市にあるCDCの3つの施設には、およそ6000匹の齧歯動物の他にこうもり、サルなどの動物が数百頭ほどいる。
今年、議会から特別に割り当てられた300万ドルの予算で、150万ドルほどするケージ洗浄機の購入など、多くの設備を改善することができた。また、電子記録システムを段階的に導入し、トレーニングを強化し、獣医師その他の職員を増やした。
AAALACは再検査を先ごろ行っており、来年1月にCDCの認可資格について決定を下す予定だ。
2006年11月16日
Seattle Post-Intelligencer
http://seattlepi.nwsource.com/health/1500ap_cdc_lab_animals.html
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