【EU】
薬品と化学物質に対する
新しい動物実験代替法を承認
ブリュッセル、2006年3月21日
AVA-net 海外 ニュース No.118 2006.5-6
翻訳:宮路正子
欧州代替法評価センター(ECVAM)の科学諮問委員会は、今日、特定の薬品や化学物質の安全性評価において動物実験の必要性を減らす6つの新しい代替法を承認した。
新代替法は、動物の代わりに細胞培養を用いて抗ガン剤の毒性評価や汚染された薬品の特定を行う。
今日承認された代替法は、実験に必要とされる動物の数を減少させるだけではなく、実験の精度を向上させ、その結果、関連商品の安全性をより確実なものにする。ECVAMは欧州委員会共同研究センターに拠点を置いており、その役割は化粧品、医薬品、化学物質の動物実験を代替法に置き換え、実験動物の苦痛を軽減し、使用数を減らすことだ。ECVAMが評価した代替法は、欧州内の研究所で使用される前に25のEUメンバー国、学術会、業界、動物福祉団体の代表から成る科学審議会に承認されなければならない。
EUでは毎年およそ100万人がガンで死亡している。代替法のひとつはガンの化学療法に使用されるいくつかの非常に毒性の高い薬品の、投与効果の促進を図るように考案されたもので、マウスの骨髄培養とヒトの臍帯血幹細胞を使用し、第1相臨床試験の患者群における、過剰投与による致死率を低下させるために開発された試験だ。これは、現在行われている前臨床試験(動物実験)の過程では特定することができないものだ。国際的な研究において、この新試験法は動物実験より正確な予測を提供できることを示しており、必要とされる動物の数を減少させるだけではなく、患者の安全性も増す。
残りの5つはバクテリアに関する試験だ。 人間の免疫システムは、バクテリアから私たちの体を守るように設計されている。
しかし、この免疫システムは、生きているバクテリアと死んでいるバクテリアを識別することができず、死んでいるバクテリア、あるいはその一部にも反応する。
薬品は除菌されていても、バクテリアの痕跡がまったく存在しないわけではない。このため、発熱、痛み、ショックなどの副作用が現れることがある。毎年20万匹のウサギが、このような薬品が市販される前のテストに使用されている。
新しい試験法では、実験室で培養されたヒト免疫細胞を使用するが、これによって人間の免疫システムとまったく同じようにバクテリアを探知することができ、実験室で使用される動物の数を減らすだけでなく、実験コストも下げることができる。
おまけに、これらの新しい試験法は、汚染されている薬品を特定するのにこれまでの動物実験より、はるかに効率が良い。
ECVAMの活動はEUの 研究体制プログラム(Research Framework Programme)が資金を供給し、加盟国、業界、動物福祉団体も援助しており、先端の科学知識を使用して、患者の安全性と動物福祉を向上させる手助けとなるものだ。
2005年11月7日、ベルギーのブリュッセルで行われた「代替法へと転換するヨーロッパ」と題された会議では、動物実験代替法代替へのアプローチを促進するための業界との「欧州パートナーシップ」が採択された。
<EU公式ホームページ>プレスリリース
http://europa.eu.int/rapid/pressReleasesAction.do?reference
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