【アメリカ】
製薬業界、7年間でロビー運動に
8億ドル(約900億円)を費やす
AVA-net 海外 ニュース No.113 2005.9-10
翻訳:宮路正子
公共性保全センター (Center for Public Integrity: CPI) は、議会の公式記録にある5,500以上の公開レポートをレビューし、まとめたレポートを発表したが、これによると、製薬業界は、この7年間に、8億ドルを連邦政府に対するロビー運動と政治献金に費やした。
製薬業界は、2003年に約1億1600万ドルをロビー運動と政治献金に費やしたが、この年、議会は医療保険制度(Medicare)における処方薬便益利益を承認し、これにより、保険社会福祉省が業界と薬価交渉を行うことが禁止となった。 また、2004年には、1億2800万ドルを費やして、法人事業税救援法案の一部としての税金控除などの法制定のためのロビー運動を行った。業界はまた、食品医薬品局(FDA)の権限を弱めるための運動や、特許権保護の拡大と強化、税金控除を受けるための運動も行ったという。
レポートによると、製薬業界は1,291名の登録ロビイストを雇用しており、これはワシントンDCにいるロビイストの数としては他のどの業界よりも多く、また、その半分以上が元政府職員だ。そして、過去7年間に3000人以上の人間が業界のためにロビー運動をしており、その中には75人の元議員も含まれる。
このレポートはCPIが1年かけて、製薬業界のロビー運動と選挙への資金提供を調査した結果の一部だ。また、製薬業界が米通商代表部事務所へのロビー運動にFDAへのものより時間を費やしたことも明らかになった。さらに、1997年から2004年までのFDAから製薬会社に宛てられた警告書の数を調べ、その数が140から23と84パーセントも減少したこともわかった。
■反応
CPIのバスキン理事は、他の利害団体はどこも、公的見解を操作するために同期間にこれほどのお金を使っていないことが判明したのは驚くべきことで、CPIは、製薬業界が誤ったことをしていると批判しているわけではないが、このような財政的成果は厳密な調査に値すると信じている、と述べた。
PhRMAのジョンソン副社長は、CPIのレポートが、「明らかに偏見に満ち、一方的であり」、「アメリカの生物薬剤学研究会社が研究開発した薬が、世界中の何千万という人の命を救い、生活の質を向上させたこと」を認識していない、と述べ、また、業界が受ける税金控除は業界の研究資金源としては主要なものではなく、今日の規制や法は、会社がリスクを冒し、最先端の研究を進め、新薬やより有効な薬剤の開発に年間約500億ドルを費やすための環境を整備しているのだ、と付け加えた。
グリーンウッド元下院議員が代表を務めるバイオテクノロジー業界協会の交流担当のイレイミアン副社長は、ワシントンD.C.独特の流儀を理解するのに、立法経験のあるスタッフがいるのは良いことだ、と述べている。なお、このレポートは以下のアドレスに掲載されている。
2005年7月8日
Medical News Today
http://www.medicalnewstoday.com/medicalnews.php?newsid=27125&nfid=mnf
CPI
Special Report
Drug Lobby Second to None
How the pharmaceutical industry gets its way in Washington
http://www.publicintegrity.org/rx/report.aspx?aid=723
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