【オーストリア】
大型類人猿の実験禁止へ
AVA-net 海外 ニュース No.113 20057-8
翻訳:宮路
オーストリア、大型類人猿の実験禁止へ
大型類人猿の実験を禁止する法の改正案が、オーストリアで検討されている。大型類人猿の実験は、オーストラリアでは、現在、申請も許可もされていないが、エリザベート・ゲーレアー教育科学文化相は、法改正が望ましいとしている。法改正により、オーストリアにおける動物保護について確固たる表明を行うことになり、同国を革新的な位置に置くことになるからだ。
改正案には、チンパンジー、ボノボ、オランウータン、ゴリラの実験が関わる。
大型類人猿は人間に最も近い動物であり、彼らの実験使用を明確に禁止するのはゲーレアー相が特に関心を持っているものであり、法の改正により、大型類人猿の実験が将来的にも行われないことを確実にすることができるという。
オーストリアの声明によると、大型類人猿の実験を禁止する法案を提出、あるいは採択しているのは、これまでのところ(EU内では)スウェーデンとオランダのみ。
動物実験を廃止するための欧州連合(ECEAE)は、EUにおける科学研究で、毎年およそ1万頭の霊長類(類人猿とサルを含む)が使用されていると推測する。
1999年には、イギリスでの使用数が最も多く3191頭、次にフランスの2322頭、そしてドイツの2084頭と続く。
霊長類は主に人間の疾病モデルとして使用され、その主な研究分野は、神経生理学、生殖生物学、
感染症(エイズ、A型・C型肝炎、マラリアなど)、 自己免疫疾患、神経疾患、新薬やワクチンの開発とテストだ。
イギリスでは、4つの研究会議と団体が集まり、人間以外の霊長類を使用した生物学・医学的研究の、近年、現在、そして将来的な科学的根拠を調査するためのワーキンググループを設立した。
オックスフォード大学の遺伝学専門家デヴィッド・ウェザーオール卿を代表とするこのグループは、人間以外の霊長類を使用する研究の代替法があるかどうかについて厳格な科学的評価を行う。過去10年以上にわたり、ヒトゲノムのマッピングなど、生物医学科学における無数の研究が行われてきたが、このような研究が行われるのは初めてのことだ。
動物実験に反対する団体はこの研究を歓迎しているが、動物実験に反対するイギリス連合(BUAV)は、研究に関与する団体は公平な立場ではないかもしれないことを指摘する。関連する団体は、これまでに動物を使用することにあまりに多くの時間と労力をつぎ込んできたので、動物の使用が失敗であり、見当違いであり、時代遅れでるという証拠があっても、動物の使用に代わる代替法に移行することに積極的では
ないかもしれないという危惧感をもっているという。
CORDIS News 2005年5月10日
http://dbs.cordis.lu/cgi-bin/srchidadb?CALLER=NHP_EN_NEWS&ACTION=
D&SESSION=&RCN=EN_RCN_ID:23797
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