【スイス】
スイス上院、動物により大きな保護を与える
AVA-net 海外 ニュース No.109 2004.11-12
翻訳:宮路
スイス上院では、動物の扱いを管理する、いままでより厳しい改正案が可決された。
10月6日、議会は、麻酔薬なしでのブタの去勢を段階的に禁止することを含む一連の改正案を、満場一致で可決した。 上院を通過した法案は、25年経つ動物保護法を改正するために政府が提出した案より厳しいものだが、動物保護基準がスイスと同レベルに達していない国からの動物製品すべての輸入禁止を求める法案は否決された。
政府案をさらに前進させた上院の決定は、実際には国民発議に対抗するものであるが、改正案の下院通過後、国民が最終決定を下す権限は残っている。
上院を通過した法の中で最重要事項のひとつは2009年までに麻酔薬なしでのブタの去勢を禁止することだが、実行可能な代替法がそれまでに実現されなければ、この期限は2011年まで延長することができる。
法の施行
政府は、動物を扱う人間の教育を強化し、1978年の法律の執行をより厳しくするだけで十分だろうと主張していた。
上院での採決前、連邦獣医局のミュラーは、スイスにおける保護基準は、国際的に非常に高いレベルなので、現行法の大幅な改正は必要ない。スイスの動物がフランスやドイツの動物と異なるわけではないのに、なぜ、スイスだけ保護基準を高くしなければならないのか、と述べた。
上院は、動物福祉団体の要求に応じて家畜の輸送時間に新たな制限を加えることはしなかったが、家畜の輸送はできる限り短時間にし、不必要な遅れは避けなければならないと言及した。
動物実験
上院は、また、極端な苦痛を引き起こす動物実験を禁止にはしなかったものの、実験で動物が受けると予測される苦痛と実験から得られるであろう知識とを比較検討する必要があることを強調した。
しかし、政府は、強力な政治勢力である農民の圧力におもねっていると非難している動物福祉団体は、おそらくこの改正には納得しないだろう。
スイス最大の動物福祉団体、スイス動物保護(SAP)、は7月に国民発議を提出し政府への働きかけに拍車をかけた。これは法改正への国民投票を実現させるための第一歩であったが、上院によって否決された。「動物の現代的な保護のために(動物保護−イエス)」と名づけられたこの発議は、動物保護規定を憲法に盛り込もうとするもので、内容的には非常に厳しく、動物保護基準がスイスと同レベルでない国からの動物製品の輸入を禁止しようとするものだった。
ウシの保護活動を行っている団体のウェイベル代表は、政府の法案が種によっては動物虐待を許容しているのは大きな問題であり、スイスのような現代的な国で動物虐待はあってはならない、と述べている。
2004年10月6日 (swissinfo)
http://www.swissinfo.org/sen/Swissinfo.html?siteSect=111&sid=5259226
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