グラクソクラインの職員、
薬の無効性を公表しないよう命じられる
AVA-net 海外News No.106 (2004.5-6)
翻訳:宮路
カナダ医学会誌(CMAJ)は、抗うつ剤のパロキセチン(paroxetine)を青少年の治療に使用した場合、なんの効果もなかったことを示す1998年の臨床試験における発見を保留するよう促す製薬会社グラクソクラインの内部文書の詳細を公表し、その早期リリースをホームページ(www.cmaj.ca)に掲載した。
昨年、北米ではSeroxat、イギリスではPaxilとして市販されている薬が、自殺を誘発する危険があるとされ、数ヶ国で小児科での使用が禁止となり、英医薬品管理庁(MHRA)は、昨年6月、この薬を18歳以下の患者へ投与してはならないという勧告を出した。
CMAJの記事によると、スミスクライン・ビーチャム(のちにグラクソウェルカムと合併してグラクソ・スミスクラインとなった)の中央医事チームは機密文書を作成したが、この文書では2つの臨床試験、329と377の結果が、Seroxatの児童や青少年への使用を承認するための表示変更を、管理機関に申請するためには十分に説得力のあるものではない、とされ、チームは会社側に、「売り上げにマイナス影響を持ついかなる可能性をも最小限にとどめるためにこのデータの発表を効果的に管理すること」を提言した。
1993年から96年にかけてアメリカで行われた臨床試験329は、paroxetineが偽薬より効果があったことを示したが、377ではこの抗うつ剤より偽薬のほうが有効だった。
中央医事チームの文書には、「paroxetineの使用に効果が見られなかったということを知らせるのは、薬のイメージを損なうため、営利上、承認しがたい」と書かれているという。
グラクソ・スミスクラインの広報担当者は、文書は不適切な結論を引き出しており、事実と一致していない。GSKは、安全データ提出のための規定すべてを遵守しており、また、ポスター、アブストラクト、その他の出版物によって医師に安全性や有効性に関するデータを伝えている、とCMAJに伝えた
British Medical Journal 2004;328:422、2004.2.21
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/328/7437/422-a?etoc
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