【WHO】
保健専門家、異種間臓器移植手術へ警告
AVA-net 海外News No.105 (2004.3-4)
翻訳:宮路
世界保健機構(WHO)が理事会に提出した政策提案の中で、保健専門家たちは、SARSと同様に種の壁を越えて感染する疾病を予防するためには、動物から人間への臓器移植についての先駆的研究に至急、規制を設けるべきだと警告した。
異種間臓器移植の実験がいくつかの国で行われようとしているが、その実態調査を行うため、あるいは異種間臓器移植の乱用を防止するための規制はほとんどないという。
WHOの倫理・貿易・人権・法律部門の責任者、アレックス・キャプロンは、特に安全面で憂慮されるとして「保護対策」を訴え、感染した動物の臓器、あるいは組織から、人間が偶発的にウィルスに感染する危険性、そしてその感染者からさらに他の人々への二次感染の危険性を強調している。
キャプロンによれば、免疫反応、そしてSARS流行で目の当たりにしたように、動物由来の病原体が、臓器移植を受けた本人だけでなく、一般市民に感染する可能性などが、いまだ計り知れない危険として存在しているという。
WHOのコンサルタント達は、法規制の必要があると思っており、現在ほとんど存在しないといっていい法規制の枠組みが整うまで、WHO
は、192の加盟国が、異種間臓器移植を中止するよう要望している。
中国南部の人々は、2002年末、動物との直接接触により、初めてSARSウィルスに感染したと考えられている。
WHOは、また、最近の致命的な鳥インフルエンザの発生に関して、動物から人間へ種を超えて感染し、人間のインフルエンザウィルスと融合するウィルスの危険性を警告している。
保健専門家は、規制なしで異種間臓器移植を行えば、自然に発生する感染に加えて感染の危険度が増大することになるという。
Independent Online(South Africa)、2004年1月19日
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