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 HOME > 海外ニュース > アメリカにおける教育での動物実験代替法  
 

海外ニュース

【アメリカ】
アメリカにおける教育での動物実験代替法

AVA-net News No.103 (2003.11-12)
翻訳:宮路

 最先端技術の進歩と共に、教師には代替法を採用する新たな理由ができた。代替法のほうが優れているかもしれないのだ。

 昨年5月、マサチューセッツ州レンサムにあるキング・フィリップ地域高校の、ベティ・ヴィラードが教える10学年の生物学教室では、3日間、話し声ひとつしなかった。教室が空だったわけではなく、生徒が試験を受けていたわけでもない。そうではなく、生徒達は熱心に2ダースほどの蛙を解剖していたのだ。しかし、ふつうそういう状況に付きものの嫌そうな悲鳴や手助けを求める声はなかった。ヴィラードはこれについて、気持ち悪がったり、嫌悪感を抱いたりするものが何もなかったからだと説明する。生徒はコンピューターのモニター上で解剖を行なっていたのだ。

 全米の、多くの小中高の授業で、動物の解剖の代わりに代替法が取り入れられるようになった。ヴィラードが授業で使用したデジタル・フロッグ2というプログラムは、NEOTEKやScience Works などの会社が提供する代替法教材のひとつで、これらのプログラムが、カエルだけでなく、ネコ、ネズミ、ブタの胎児といった動物の解剖を補足する、あるいは代替するために使用される割合が増えている。解剖のシミュレーションでは、生徒はコンピューター・マウスを使ってさまざまな器官の“切断面”図を観察することができ、また、動物生理学、生態学、行動学に関する文献や図にアクセスすることができる。

 このシミュレーションについてヴィラードは、ひとつの教材を他の生徒と共有することもなく、やりたくないという気持ちにもならず、生徒の態度は淡々と、じゃあ、始めようか、というものだったという。ヴィラードが実習後に生徒がソフトウェアからどの程度の知識を得られたかテストを行ったところ、従来の解剖で得られるだろうと予測した知識を上回る成績だった。これまでの解剖実習では、生徒は実習に対して「感情的に反応するのに忙しく」、教師が期待するほど実習自体に注意を払っていないとヴィラードはいう。代替法学習は、この58歳のベテラン理科教師を納得させた。生徒が個々にプログラムを進めていく過程を見ていて、解剖実習より優れていると思った、という。

 より多くの学生が、感情的な反応、また場合によっては倫理的理由によって動物を解剖することを拒否している。そして、全米で少なくともカリフォルニア、フロリダ、イリノイ、ルイジアナ、メイン、メリーランド、ニューヨーク、ペンシルバニア、ロードアイランドの9州では、この問題に関していわゆる学生選択制度を承認しているので、州法、決議、教育委員会指令によって定められているこのような制度は学生が罰則を受けることなしに、代替法で解剖学や生理学を学ぶ権利を保障している。米国人道協会(HSUS)が5000人の生物学教師を対象に行った最近の調査では、その3分の2が、解剖の件に関して学生の選択をサポートすると答えている。

 1980年代の終わりに開発されて以来、コンピューター・プログラムは解剖に反対する学生に対応するひとつの方法を提供してきた。初期のプログラムの中には生硬な静止画だけというものもあったが、ビデオや静止画、臓器操作方法の種類や範囲、オーディオによる補足説明などの点で、今日のソフトウェアは、質や精細度において初期のものとは比べ物にならないほど進歩している。最、HSUSのような動物保護団体は、人道的教育貸し出しプログラムのもと、教師が代替法プログラムを試験的に使用することができるよう貸し出しを行っており、代替法はすべての学生にとって実際の解剖と同等、あるいはそれより優れていると主張するテクノロジー関連企業と同調している。

 動物について学習するのであれば、当然、動物の身体がどのように機能するかを理解する必要があるが、代替法を採用する目的は動物について学習する過程において、動物を傷つけることをやめるということだと、HSUSの動物実験問題部門の教育と動物福祉の責任者、レスリー・キングはいう。キングは、また、コンピューター・プログラムや立体モデルは、本物の動物とは異なり、再使用可能なので、代替法が解剖用に動物を使用するよりもコストがかからないともいう。

 しかし、この問題に関して議論を行っている全米の教師協会は、コストの点は特に気にかけていない。これらの協会は、解剖に関する決定は教育者に一任されるべきだという立場を取っている。全米理科教師協会のウィーラー実行委員長は、教師は専門家であり、学生が解剖を行うには若すぎる場合や解剖を行いたくない場合には代替法を採用する必要があるということを認識しなければならないが、代替法は実際の解剖ほど教育的な効果はないという見解だ。ウィーラーは、科学に興味を持つ子供が実際に解剖を経験するということは意欲を掻き立てるのに非常に効果的だが、コンピューター・プログラムによってそれほど意欲をかきたてられることはないだろう、という。

 全米生物学教師協会のカーリー実行委員長もこの見解に同意している。動物の身体の構造がどのようになっているか生徒に理解させたい場合、本物を使う必要があり、全米生物学教師協会は学生が解剖をしないですむ学生選択法に反対だという。カーリーはまた、教師は訓練を受けた教育者であり、科学を学ぶなかで訓練されており、学習の目標に到達するための最良の方法を心得ている、という。

 ヴィラードのような代替法の支持者でも、テクノロジーにも限界があるという。10学年以上の解剖学や生理学の授業では、デジタル・フロッグ・プログラムはどちらかというと入門用の教材だという。彼女の意見では、実際の解剖は本質的に学生がさらに高度なレベルに達し、技術と観察能力により注意を払うことに集中できるときのためのものだという。すべての学生がコンピューターの上ではカエルの脳を摘出することができるが、実物のカエルを使って同じことをできる学生はあまりいない、とヴィラードはいう。

 しかし、HSUSは、代替法がより高いレベルにおいても同様に教育のニーズを満たすと主張している。実際、いくつかのトップレベルの医科大学院で解剖の代替法として、立体モデルやソフトウェア・シミュレーションを使用している。

 テクノロジーが次に開拓すべきは、実際の解剖で試験された、神経や細胞の反応などの生理過程を示すより優れたシミュレーションだろう。ビデオ技術やインターアクティブのツールが改善し続けるとともに、学生は三次元の画像を見たり操作したり、また、広範囲の実験を行なう、より多くの機会があるだろう。

 実際に動物の体内を穿り回さなくても、どのように動物の身体が機能するか理解できる。この問題の本質は、何かをしないと決めることではなく、動物に思いやりを持っている学生が科学から遠ざかるようなことにならないようにすることだ、とキングはいう。

(Teacher Magazine)

 

 

 
 
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