【タイ】
実験室での動物虐待に法規制を
タイ政府は、国際基準を満たすよう科学者に要求
AVA-net News No.102 (2003.9-10)
翻訳:宮路
実験動物の人道的な扱いを保証するために、国立研究委員会(NRC)が法案を作成中だと政府高官が発表した。NRCの動物実験委員会のチャティカバニジャ委員長は、タイの研究者は実験後の動物の処分、特に動物を苦痛なしに処分する、という国際的に認められている基準を遵守していないことが多いという。
委員会は、科学者が助手たちに、実験終了後必要なくなった動物を、生きたまま埋める、頭部を切断する、溺死させる、などの残酷な方法で処分させていたことを発見した。多くの科学者が、実験動物安楽死の基本方針を無視しており、委員会は実験動物を取り扱う方法に関するマニュアルを2万部以上配布したが、科学者はこれを無視したという。
タイでは、実験動物のほとんどはモルモット、ウサギ、鳥で、それらの動物はすべて実験後、殺処分される。しかし、科学者はこれを人道的に行う必要があり、内閣は、最近、科学者が実験動物を扱う際に国際基準を厳守しなければならないという見解を明らかにした。
国立遺伝子工学・生物工学センター(バイオテック)の副所長を務めるチャティカバニジャ委員長は、バイオテックの研究者の半分以上は実験に動物を使用していないが、タイには実験動物の扱いに対する十分な法規制がないという。
委員長によると、多くの科学者が個人的、あるいは宗教上の理由―これは動物の殺処分を自ら行うことを好まない理由でもあるがーで実験に使用した動物の殺処分を拒否しているという。
チェンマイ大学医学部のリムトラクル博士は、かつて食品の発ガン性を研究するためにモルモットを使用していたが、今は生体の代わりに培養組織を使用しているという。しかし、彼女の同僚の中にはまだモルモットを使用している研究者もおり、また、タイには実験動物の人道的な処分を保証する十分な法律がないことも事実だという。
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