【アメリカ】
医薬品のコストを上げる動物実験
AVA-net News No.102 (2003.9-10)
翻訳:宮路
医薬品が高価であることについては多くの記事が書かれているが、その理由のひとつでありながらほとんど言及されていないのが1962年に施行された、すべての医薬品開発に動物実験を義務付けているキーフォーバー・ハリス医薬品改正法だ。施行当時は良識的判断に基づいたものであったが、結果として、効果が実証されたものに専念するべきであった時間、資金、人材の無駄遣いを招いてしまった。動物実験のデータを人間に当てはめることは科学者を誤らせ、治療を遅らせ、危険な治療や技術を予防せず、人間に直接危害を与えてきた。過去に動物実験を行って発見されたものは動物実験を行わずとも発見できた可能性もある。
今日、私たちが享受している高水準の医療は臨床における観察、人間の組織を使用したin vitro研究、検死、コンピューター、疫学、予防、その他の多くのものが可能にしたのだ。
しかし、動物実験はすぐにはなくならないだろう。動物実験は、製薬会社には法的な逃げ場を、そして科学者には何十億ものお金を提供しているからだ。動物実験研究者は巨額の助成金を得ることで、その職を維持している。これを「白衣着用者福祉」(white
coat welfare)と呼ぶ人もいる。選挙権を持つ市民は地元選出の国会議員にキーフォーバー・ハリス医薬品改正法の廃止を求めるべきだ。
それまでの間、私達、一般市民は、善意の寄付などを送ってこの茶番劇に資金を提供し続けていてはならない。支援する慈善団体が人道的団体認定証(動物実験機関に寄付などを行っていない団体に与えられる)を持っているかどうか調べよう。この認定証は、寄付金が動物実験のために浪費されなかったことを支援者に保証する。また、レイ・グリーク医師とジーン・グリーク獣医師が書いた「聖なる牛と黄金のガチョウ」(Sacred Cows
and Golden Geese)を是非読んでほしい。
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