見学レポート
犬抑留所を訪れて
(AVA-net89号 2001年11-12月号)
8月3日と8月6日の比較的涼しい日は、私が生まれて初めての抑留所見学の日となりました。県内6箇所ある内の4箇所に足を運びました。
住宅及び、市街地からかなり離れた所に位置し、4箇所共に古い建物でした。内、2箇所は、ペンキ塗装や屋根の補修等、職員の手でやれる所は手を加えていますが、他2箇所は、朽ち果てたという感じです。どの施設も、窓らしいところはなく、暗く陰湿な感じで、三箇所の犬達は狂ったように鳴き叫んでいるか、何もかも生きることさえも諦めたかのようにジッと動かないか、とても凝視できる状況ではありませんでした。
そんな中で、一箇所だけは、職員の方の努力もあり、抑留期間中も短時間ではあるが、敷地内の散歩もあり、子犬などはボールで遊んでもらったりしている様で、職員の人達には、吠えることもあまりなく、顔つきも穏やかにさえ見えました。そして、この施設だけ猫専用ゲージがあります。他の施設は猫用のは、1つも無く全て麻袋にいれておくか、即処分だそうです。理由は貰い手がまったくないこととゲージなどに移す際に、逃げられるから…だそうです。
食事は1日2回で、一箇所だけ動物実験用飼料を使用、他3箇所は、普通に市販されているドックフードでした。動物実験用飼料を使っている施設は、職員の態度、環境、犬達の狂気の様な鳴き声、どれを見ても1番悲惨な感じを受けました。質問をするために色々考えて出向いたはずが、あまりの状況に私は最後まで声がでませんでした。
地域の特性として、山間地方では、狩猟シーズン終了直後から、猟犬の捕獲数の増加が著しく、酷い時は全犬舎が狩猟犬だけでいっぱいになる事もあるそうです。また、猟が終わった時にその場で射殺、または、紐などで木に繋いで放置する人なども多いと聞きました。
どの場合でも人間の勝手な都合で、生まされ、コキ使われ、捨てられ、殺される。動物達は逃げたくても逃げられず、運良く逃げてもまた捕まって、殺されるだけ…「何の為に生まれてきたの?」「殺されるため?」と聞かれているようでした。私は何もできずただ心の中で「ごめんね、助けてあげられなくて…」と、謝るばかりしか出来ませんでした。
泣くのは簡単です。見たくないことは見なければいい?聞きたくないことは聞かなけばいい?それも簡単です。でも、何の罪もない動物の行く末を知ってしまった以上、泣いているだけでは救えない、目を背けていたら事態はどんどん悪くなるのは目に見えています。1歩も前に進まないのです。人間の傲慢、私利私欲、身勝手、無関心が私は大嫌いです。恥を恥として感じなくなった空っぽの心、すさみきった心に動物も地球もそして、人間自身も破滅に向かってしまったと思います。人間のすさんだ心を取り戻し胸を張って歩けるように、そして、不幸な動物がいない世の中が当たり前になるのを願って、私達に出きる事を1つ1つ確実にしていきたいと思います。
最後に救えなかった、尊い命に…合掌。
遺棄される猟犬たち
県内の抑留所を会員の皆さんと回ってきました。
中でもひどいのは、猟犬として使ったポインターやセッターなどを、シーズンが終わるとさっさと捨てに来る人が多いこと。次の年まで飼育する費用がかさみ、新たにまた購入する方が安くつくからだそうです。
過去に、東京から来た人で、猟犬を使い終わった後、散弾銃で殺した人がいたと…。
もし行政が、引き取り料を徴収するようになった場合、こういう人がさらに増える可能性もありそうです。
また、何度も捨てる常習犯(子猫が多い)もいるそうですが、行政の人いわく「話しが通じない」のだそうです。
一つの施設はオープンで、「いつでも見に来て、改善点を指摘して下さい」と言っており、好感が持てました。しかしながら、「なかなか予算が下りない、お金がない」ことを連発していました。
猟犬遺棄の問題は、解決の糸口が見つかりません。ただ道具として犬を使い捨てる人は、動物取扱業者と同様で、一番タチが悪いと思います。スポーツハンティングそのものの規制強化しかないように思います。
この日同行した会員のNさんの家周辺でも、猟犬を伴ったハンターが銃を撃ちまくっているらしい。山へ入ると銃弾が散乱していたり、また猟期であることの通知がなにもなく、突然始まるため非常に危険であるとのことです。
猟犬遺棄の問題
昨年の夏、この地方の高原の牧場を訪れたとき、そこで働いている人から遺棄された猟犬の問題を耳にしました。
やはり捨てられた猟犬が野犬化し、群を作って、牧場のヒツジやニワトリを襲うのだそうです。犬はつないで飼わなければならないはずですが、猟犬は例外とされていることが多く、野犬化した場合には人にも他の動物にとっても危険となり得ます。狩猟法の観点からも、動物飼育の観点からも、猟犬の飼育規制が必要と思われます。
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