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 HOME > 法律 > 日本で初めての動物実験指針に意見を  
 
法律

文部科学省

動物実験指針案についてのパブコメ
(2006.1.30〜2.28)

日本で初めての動物実験指針に意見を

AVA-net News  2006.2


 この1月末に文部科学省が「動物実験指針」(正式には「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針)」案を公表し、1月30日から2月28日まで1カ月間のパブリックコメント(国民からの意見募集)を行っています。 

 指針(ガイドライン)には法的強制力も罰則もないのですが、それでも日本で初めて制定される動物実験の適正化に関する内容ですので、無いよりはましでしょう。ただし、この程度の内容でも、動物実験をする側の研究者たちからの圧力で、ほとんど骨抜きにされています。

 諸外国の動物実験規制法や、国際機関における動物福祉の取り組みなどを見るとき、日本がこの分野ではいかに「後進国」であるかがわかります。その理由のひとつに、日本の近代化の過程で、欧米流の科学研究を無条件によいものとするほとんど信仰のような感覚があり、科学研究の社会的責任に付随する倫理観をないがしろにしてきた歴史があると考えられます。
 そのことの弊害は、続発する研究の不正事件によく現れています。

■何のための動物実験か?

 本指針案の前文は、「地球上の生物の生命活動を科学的に理解することは、人類の福祉及び動物の愛護はもちろん、環境の保全と再生など多くの問題の解決にとって、極めて重要であり、動物実験等はそのために必要でありやむを得ない手段である。」などとと述べています。

 これだと動物愛護のためにも動物実験は必要だと言わんばかりです。動物実験の大部分は、研究者の知的好奇心に基づき、科学的知見という情報量を増やすために行われるものであって、環境の保全や再生などの取り組みといった人文社会学分野とはほとんど関係がなく、まして動物の愛護とはむしろ反対の行為でしょう。逆に言えば、ここまでこじつけないと動物実験を正当化できないという証明なのかもしれません。

 むしろここでは、動物実験は人間の利益のために動物を犠牲にする行為であり、それゆえに実験研究者は科学的・倫理的立場から動物の福祉に配慮する義務があること、および社会に対して情報公開と説明責任があることを述べるべきでしょう。

■動物実験は生命倫理の一分野

 現在、人間の医科学研究においては、動物実験と人体実験の境界がどんどん近づきつつあります。例えば、人間の遺伝子を組み込んだブタの臓器を人間に移植するような先端医療の研究では、動物実験と人体実験の境界は融合しつつあるといっても過言ではありません。

 人間も動物も痛みや苦しみの感覚のある生き物という点では同じであり、その取り扱いでは可能な限り人為的な苦痛を与えないようにするべきことは人類共通のモラルであるでしょう。また、受精卵やES細胞の研究のように痛みや苦しみの感覚がない段階における生命研究においては、それが将来的にもたらす影響に鑑みれば当然、生命倫理の対象となります。

 諸外国の生命倫理学においては、動物実験も必ず含まれています。日本のみが生命倫理の対象から動物実験を外しているのはとても奇妙です。動物に対しては何もしても許される(倫理的配慮の対象外)だという思想は、現代医学の最先端で人間自身をも実験動物扱いすることにつながるように思えてなりません。

■動物実験の透明性とは

 依然として、病院等での医療事故が多発しています。しかし今や、弱い立場の患者さんたちも、今までのようにただ泣き寝入りするのではなく、訴訟を起こすなど立ち上がるようになりました。近年、医療訴訟の数はたいへん増大しています。アメリカで行われた医療改革−患者本位の医療への転換−は、まさに患者たちの訴訟から始まったのです。

 確かに黙っていては何も変わりません。しかし患者が声を上げる場合の一番のネックは情報が隠されているという点です。生命・安全に係わる情報が非開示というのは最悪の事態ですが、動物実験については動物がものを言わないのをいいことに、実験施設はまるで要塞のように厚い壁で隔てられています。このままだと、社会における動物実験に対する不信感は増大するばかりです。せめて動物実験に関する記録だけでも、すべて公開されるべきでしょう。

■動物実験委員会には社会の目を

 現在、大学等の動物実験委員会に、その機関の外部の委員が入っている例はほとんどありません。あってもせいぜい同じ大学の違う学部の委員を含める程度です。しかし、内部関係者だけで審査をすることは結局はお手盛り、馴れ合いになり、客観性も透明性も確保されません。そのために、文科省の他の生命倫理指針では、理科系以外の、人文社会系の有識者や、外部委員を入れること、男女両性で構成するといった方針をとっています。

 動物実験指針においても、動物実験は生命倫理の一分野であると位置づけ、このような方針を取り入れるべきなのです。とりわけ一般社会の常識を代弁する有識者、生命倫理、動物福祉関係者などを含め、科学的合理性のみならず社会の常識や倫理観にもとづく意見を入れることにより、独断的な思いこみや科学研究の暴走に一定の抑止効果が期待できるようになるでしょう。

※1:『機関内倫理委員会の在り方について』(文部科学省 平成15年3月20日)
「(2)審査の方法:機関内倫理審査委員会は、科学的正当性と倫理的妥当性の検討を行うこととが求められる。」
「(3)委員の構成:機関内倫理審査委員長は、組織の長や審査対象の研究を実施する立場の者であることは適切ではない。できるだけ中立な者が務めるべきである。」

※2:『ヒトゲノム・遺伝子解析休に関する倫理指針、疫学研究に関する倫理指針』等
 「倫理審査委員会は、学術的かつ多元的な視点から、様々な立場からの委員によって、構成かつ中立的な審査を行えるよう、適切に構成されなければならない。」
※同上細則「倫理審査委員会は、医学・医療の専門家、法律の専門家等人文・社会科学の有識者及び一般の立場を代表するものから構成され、外部委員を含まなければならない。また、男女両性でなければならない。」

■苦痛の軽減について

 苦痛の軽減は、動物愛護法で規定されている、研究者が遵守すべき唯一の義務規定となっています。各国の動物保護法や国際学会等でも苦痛を与える実験については最も厳しい規制があります。10数年以上も前ですが、国際疼痛学会が、研究者が自分に施してみて耐え難いような痛みを覚える実験は動物に対し行ってはならないというガイドラインを定めたという記事を目にしたことがあります。

 近年、研究者たちが動物実験に置ける苦痛のランクを定め、A〜Eの段階で、最も激しい苦痛を与えるEランクの実験は、仮に科学研究上で大きな成果が得られるとしてもおこなってはならないという自主規定をしています。これは人間として当然のことであり、国の指針としても明記すべきです。科学研究というものが同時に人道的でなければ、社会に大きな災いをもたらすものとなりかねません。

 動物実験は動物に苦痛を与える行為であるという前提のもとに、苦痛の軽減のためには以下のような処置が必要です。 

 1.外科的な処置等においては可能な限り麻酔薬を使用する

 2.痛みの判断の観察を不可能となさしめる麻痺性薬剤や筋弛緩薬は使用しない

 3.大きな苦痛を伴う実験を同一個体に複数回行わない

 4.実験の実施途中で動物が過度な痛みあるいは回復不可能な傷害を負った場合には速やかに致死処分する。強い苦痛を与える実験は行ってはならない。

■学生に対する生命倫理教育

 指針案には、特に学生の教育実習における動物実験についての規定がありません。しかし、これから医学や科学を学ぶ学生が、その教育課程で社会に対する説明責任や生命倫理に関する教育を受けていないということは、ある意味非常に恐ろしい事態です。

 ただでさえ、知識だけの詰め込み教育で成長し、実社会での訓練を受けていない学生達がそのまま医者や技術者になった場合、その研究が反社会的、非人道的なものにならないという保証はありません。最低でも、指針には、以下の項目が明記されるべきです。

1,学生等の実習においては動物の福祉および生命倫理に関する研修を行うこと
2,学生等の実習においては代替法の選択権を与えること
3,実験動物の飼養保管責任者は一定の経験と知識の修得したものであること

■動物実験に対する外部評価

 研究機関等の長は、動物実験等の実施に関する透明性を確保するため、以下の記録の作成と整備を行うこべきです。1.実験計画書 2.実験終了報告書 3.動物実験委員会の議事録 4.実験動物の納入記録、5.実験動物の適正飼育に関する記録、6.動物実験の実施状況に関する記録、7.教育、研修に関する記録、8.予算及び決算書、9.論文発表等の実施状況、10.その他必要な記録。

 透明性の確保とは、納税者である国民に対する透明性の確保です。一般の人々が動物実験施設に入って検査することができない以上は、実験実施者は管理責任者は自ら記録を取り、それを社会に公表する責務があると考えられます。

■情報公開

 日本には、諸外国と異なり動物実験を規制するいかなる法律も存在しないことは周知の事実です。動物の取扱いに関する研修制度も公的資格制度もなく、第三者による監視制度もありません。多くの一般国民は、実験施設という密室の中で動物に耐え難い苦痛を与える非人道的な行為が実施されていると見なしています。これが誤解でないとすれば、動物実験にかかわる情報は可能な限り公開され、国民に分かる形で説明されるべきです。

 

 

 

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