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 HOME > 法律 > 「倫理は科学の敵」か? 閉鎖的議論に懸念  
 
法律

文部科学省:

動物実験指針案の公表予定(2006.1.10)

「倫理は科学の敵」か? 閉鎖的議論に懸念

AVA-net News  2006.1-2


 現在、文部科学省で、「動物実験指針」の制定作業が進められています。(科学技術・学術審議会、研究計画・評価分科会ライフサイエンス委員会「動物実験指針検討作業部会」)。

 12月16日に第4回の作業部会が行われましたが、この間の議論を聞いている限り、動物福祉を進めようという方向性はほとんど感じられず、国際社会に胸をはれるような内容は何もありません。そもそも委員のほとんどが実験関係者、それも医学系の関係者で、議論が非常に片寄ったものとなっています。一般社会を代表する者として新聞社の役員や弁護士が入っているものの、欠席が多く、ほとんど発言らしい発言もなく、単に形式上で委員となっているだけのように思われます。

 せめて指針の策定の前に、文科省は日本の実験施設の実態調査くらいはすべきだったと思いますが、それすらなされていません。実態の把握なしで、指針を作るというのは、しょせんはその程度のものでしかないということでしょう。

 以下に、作業部会での議論で、この指針案がいかに「骨抜き」なものであるかの問題点をあげてみます。

●「大きな苦痛を与える実験は禁止に」しないとは

 動物実験は、まさに実験動物に計り知れない痛苦を与える行為です。従って、実験に際してはやるべきことは、

(1)実験計画段階でできるだけ苦痛を与えない方法を検討
(2)実験計画書に苦痛の軽減方法について記述する
(3)計画書通りに実施されたどうかの判断を第三者が行う

という手続きが、最低でも必要です。

 これに関して、生命倫理や動物福祉の観点をもつ委員から、「非常に大きな苦痛を与える実験は行うべきではない」との記述を書き込むべきという意見が出されました。このまったく穏健な意見に対して、研究者側が強く反対しました。

◎勝木主査「科学研究と法律は異なるもので、研究の自由をどこまで法律が束縛できるか。(仮に動物に限りない苦痛を与えるとしても)、それを乗り越えて動物や人類に貢献するのが目的である」

◎篠田委員「研究者としてはその言葉(極度の苦痛を与える実験はしてはならない)が指針に入ることを非常に恐れている。動物実験反対派は、苦痛をいくらでも拡大解釈して批判してくるだろう」

◎「無麻酔で長期間動物に痛みを与えることはあり得ない。(※あるから問題なのに!)苦痛の判断で実験を制限することが科学の進歩を止めることになると困る」

といった趣旨の発言が相次ぎました。まるで「倫理は科学の敵だ」と言わんばかりのこのような科学万能主義に対して、今こそ社会が監視の目を向けていかなければならない時代です。このような発言を聞いていると、ますます倫理観のない研究者集団に実験動物を好き勝手にさせるべきではないという感を強くします。

●「動物実験委員会に第三者を」入れないとは

 動物実験委員会には、必ず動物実験と無関係の第三者を入れるべきだという、国際社会では当たり前のたいへん穏健妥当な意見がでましたが、これに対しても実験者側からの反論が続出。動物実験計画書の審査は、同じ研究をしている専門家どうしでなければ判断はできない。専門外の第三者を入れるべきではないというのが、その言い分です。実験者達は、第三者、それも実験に無関係の人が係わることを極度に嫌っており、結局、委員会の委員の人選は機関の長に一任するこという方向になってしまいました。
 対外的にはそれらしく見せかけるものの、結局は身内の馴れ合いで決めるという、相変わらずの姑息なやり方のように思われます。

●「動物実験の評価を社会に委ねるべき」ではないとは

 その実験が妥当であったか、成果が見られたかどうかを点検し評価しないと、無意味で無駄な実験が横行することになります。そこで点検、評価のシステムが必要なのですが、これについても「自己点検、内部評価」で済ませるという意見が強力です。内部評価についても、専門外の第三者には評価できないという理由で、専門家仲間で互いを評価しあうということになっています。

 これを私たち市民(納税者)が外から見ると、ごく狭い研究者仲間で形式的に審査を通過させ、同じ仲間同士で評価しあうという「馴れ合い」をしているとしか見えません。ある意味、「専門家」というのは専門分野に長けている分、専門以外のことについては無知、非常識であったりするので、「専門バカ」と言われます。特に人や動物の生命を取扱う分野で、このように狭い視野の人々が何でもできてしまうという状況に、私たちは恐怖を覚えます。だからこそ、情報を常に公開すること、そして一般の「常識ある人々」の目を入れること、実験研究の最終評価は社会に委ねるべきだと主張しているのです。

●「指針の周知徹底のために、実態把握を」しないとは

 指針(ガイドライン)には法的強制力はありませんし、もちろん罰則もありません。無いよりはマシかもしれませんが、この程度のレベルではとうてい国際社会に対して明確な法規制があるとはとうて言えません。依然として日本には、動物実験に対していかなる法規制もない国だということを、私たちは常に忘れることはできないのです

 さらに、文科省は、この作業部会を開催するにあたって、主要国における動物実験の法規制の現状を外部の調査会社に委託して報告させていますが、かんじんの日本の動物実験の現状については何の実態調査さえしていないのです。どこにどのような実験施設があるかさえ把握していない状態であれば、指針の周知徹底さえ難しいのではないかという疑問を感じます。

 実験をやっている委員たちは口をそろえて、「科学の発展、人類への貢献」といった言葉があれば何でも許されるかのような言い方をしています。さらに、「現在の動物実験は適正に実施されていて何の問題もない」と主張しています。しかし、それを客観的に証明し社会に説明するためには、実験施設の実態把握や情報の公開という前提が必要不可欠なのです。その第一歩さえなされないのですから、いつまでも一般社会からの不信感や批判がやむことはないでしょう。

<参考文献>

『生命倫理ハンドブック−生命科学の倫理的、法的、社会的問題』 菱山豊著  築地書館 2003.7

「機関内倫理審査委員会は、多様な側面から検討を行うこと、機関内部の基準だけではなく、外部の考え方も取り入れること、などから、当該研究の専門家、法律や生命倫理の専門家、一般の立場の者、外部の者、男女両性が含まれるべきである。」
「機関内倫理委員会の委員長は、機関の長(研究所長や病院長)や研究を推進する立場のものであることは適切ではなく、できるだけ中立な者が務めることは当然である。」
(※著者は、2001〜2003年まで文部科学省研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室長)

 

 

 

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