<資料>
オーストリアにおける
動物実験の規制の概要
1990年1月1日付、改正動物実験法(1988)の施行。
1.法律の目的
動物実験を減じて、代替法を奨励することにある。
2.動物実験の定義
動物実験は「生ある脊椎動物に対して,恐怖,苦痛および永続的危害を与えるあらゆる抑圧的な処置」と定義される。
3.動物実験の許可要件
動物実験は、次に示す目的のためにのみ実施が認められる。
a.研究および開発
b.専門教育
c.医学的な診断および治療
d.天然物質および人工的に合成した物質の検定および試験,ならびにこれらの物質の調合
e.環境中の危険因子の認知
f.ワクチンの生産
さらに,動物実験は,次に示すような正当な利益が存在する場合にのみ実施される。
a.ヒトおよび動物の病気の予防,診断および治療
b.ヒトおよび動物の生理的状態や機能の認知あるいはそれらに及ぼす影響
c.科学的知識の確立
d.専門教育の取得
e.環境中の危険因子からの回避
4.動物実験の実施
大学は科学研究省の監督下に置かれている。企業の研究所は経済省の監督下に置かれている。保健衛生研究所(ヒトおよび動物双方)は連邦総理府の監督下に置かれている。(環境問題は環境省青年家族局が管轄する)。
5.動物実験の認可制度
認可制度は、次の3重制に変更された。
a.実施機関への認知
b.実施者への認知
c.動物実験計画への認知
6.動物の使用数、他
使用した動物を統計的に記録することが義務付け。LD50試験禁止令が1990年9月に発布。連邦科学研究省に,動物保護論者5人,動物生産者5人および大学関係者3人で構成される委員会が設置。この委員会は,前述のLD50に関する条令の制定などの問題について,大臣に助言する。
動物使用数:96の大学,8つの連邦研究施設および16の企業の研究施設で,1988年に約560,00匹の実験動物が使用。そのうち86%が企業の研究施設,10%が大学、4%が連邦研究施設で用いられた。使用された動物のうち89%以上がラットあるいはマウス。
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