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早分かり:動物実験−イギリスの場合

 英国では、動物実験を規制する法律に基づいて、動物実験者、動物実験施設、動物実験計画がライセンス制となっています。内務省がこの法律を所轄しており、許可を与えた動物実験の数や実験内容を取りまとめ、報告書を公表しています。以下は、2006年11月にBBCオンラインニュースによる、イギリスの動物実験の最新動向です。
 残念ながら、日本では、動物実験にどのような法規制もなく、実態把握のための届出制さえないため、実際に使われている動物の数や、実験内容についての統計はまったく存在しません。国民は莫大な税金がどのような研究で使われているのか知る事もできないという状態におかれています。(事務局)

 

動物実験の数

 英国内務省によると、2005年には290万弱の動物実験が行われた。
 1976年以来、動物実験の数は全体として減少していたが、ここ数年は、徐々に増加している。増加の理由は主に嚢胞性線維症のような人間の疾病モデルとして遺伝子を組み換えたマウスが使用されるためだ。

実験に使用される種

 大半の実験は齧歯動物を使って行われる。齧歯動物は、比較的、繁殖や飼養が容易で、基本的な生態や科学的性質を人間と共有している。
 犬と猫の使用はかなり減ってきている。2005年に猫を使って行われた実験は約300で、犬は5,400だった。犬で最も一般的に使用されるのはビーグル犬だ。
 1997年、政府は大型類人猿(ゴリラ、オランウータン、チンパンジー)を使用する実験には許可を出さないことを決定した。 しかし、マーモセットやマカクなどの霊長類は未だに、主として薬品の安全性テストや神経学的研究に使用されている。2005年に実験に使用された非人間霊長類の数は3,120だった。

実験の目的

 現在、動物に関連する免許の大部分は、繁殖、基礎生物学研究、医学・獣医学の研究に出されており、その大半は免疫学、薬品研究・開発、ガン、遺伝学などの非毒物学の実験だ。
 また、人間に対する製品の安全性を確認するための実験に使用される動物もいる。このような毒物学的実験には、薬品、工業や農業で使用される化学物質、食品の安全性と有効性の評価や環境汚染の評価が含まれる。化粧品の動物実験は1997年以来イギリスでは禁止されており、1995年以降、タバコやタバコ製品の動物実験は行われていない。

誰が実験をしているのか

 動物実験のほとんどは大学や営利団体が行っている。

 実験で動物を使用しようとする研究施設は、動物実験のための免許を内務省に申請しなければならない。また、実験を行う研究者自身も個人免許を取得する必要がある。
 内務省から免許を得るためには、適用可能な動物実験代替法がひとつもないこと、実験動物が被るいかなる不都合な影響も潜在的な利益と比較評価して後者より大きいものではないこと、苦痛が最小限に抑えられること、ケアと福祉が保証されることを示さなければならない。
 イギリスでは、およそ230の施設が動物実験の許可を得ており、およそ1万4000人の科学者が個人免許を所有している。

BBC Online 2006/07/24
http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/5210460.stm

(AVA-net News No.121  200611-12より)



 

 

 

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