AVA-net 86号:巻頭言
4月1日から情報公開法施行
動物実験の情報公開を求めよう
この4月1日から、国の情報公開法が施行されました。これまでは都道府県の情報公開条例はありましたが、国の法律としては存在しなかったので、国立機関に対する情報開示請求はできなかったのでですが、これからは動物実験を行っている国立研究機関に対して、どのような動物を何匹使ってどんな実験をしているか、開示請求を行うことができるようになり、ある程度は情報が得られるようになるでしょう。
徳島県では、会員の皆さんが法律の施行と同時に、国立徳島大学医学部の実験動物についての情報開示請求を求めに行かれました(2ページ参照)。ちなみに、これより先、福島県では同じく会員の方が県の情報公開条例に基づいて、県立医科大学の実験計画の公開を求めて、一部開示を得ています(8ページ参照)。
しかし、ここで私たち二2つの壁に直面します。一つ目は、「記録が存在しない」という状態です。情報公開には、公開すべき情報が記録として存在しているという前提があります。しかし、日本では動物実験に対してどんな法規制もないので、研究機関では動物の種類や数や実験内容を把握し公的な記録に遺す義務がないと主張し、情報公開請求をしても、「記録がない」という理由で拒否されるおそれもでてきます。実験動物は、帳簿上は「消耗品」として処理されています。1匹何万円もする実験動物は帳簿に記載されているかもしれませんが、保健所や動管センターから払い下げの犬や猫はほとんど無料なので、帳簿に残っているかどうかも疑問です。
二つ目は、情報の非開示、または一部非開示です。福島県立医科大学の「動物実験計画書」の開示では、肝心の実験内容がすべて黒く塗りつぶされています。払い下げの犬を使った実験などは国際的なアカデミズムの世界ではまったく評価されないもので、その程度の実験を隠さなければならないというのは、市民の批判を恐れているからと疑わざるを得ません。市民の評価に耐えられない(公表できない)ような実験を、税金を使ってやる必要があるのかどうか、たいへん疑わしい限りです。
まず、何よりも動物実験の密室性を打破しなければなりません。そのためにも、どこの機関で、どのような動物を、どのくらいの数使って、どのような実験が行われているのか、その研究の結果はどのような形で公表されているのか、しないのか、またその研究にどのくらいの費用(国民の税金)がかけられているのか、そのような実態を市民が把握できる仕組みが作られ、それによって規制がかけられていく仕組みが必要です。(野上)
2001年5月1日発行 AVA-net NEWS 86号より
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