AVA-net 148号 2011.5-6
第4期科学技術基本計画、再検討へ
科学技術政策に意見を送ろう
今回の大震災では、日本が誇る世界最大のスーパー防潮堤が津波によってあっけなく壊され、原子力発電所の安全神話も大きく崩れ去りました。ロボット技術も、放射線を想定していなかったことが露呈しました。これほど科学技術のあり方が問われた災害は今までありません。
そのような中、すでに策定が進められていた「第4期科学技術基本計画」の再検討を行うことを国が公表しています(3月31日)。そのリリース文には「科学技術が果たすべき役割を明確化し」とあり、研究費についても、今後は復興へ向けた無駄のない現実的な配分が検討されていくものと思われます。大学・研究所は、電力の大口消費者でもあり、消費25%削減の対象にもなります。
私たちは、代替エネルギーの開発・実用化はもちろんのこと、科学技術と社会のあり方、特に技術を間違った方向へ暴走させないための倫理の問題について、声をあげていかなければなりません。動物実験の法規制や3Rの普及についても、国の基本計画の中での位置づけを求めていくべきでしょう。
また、原発事故をめぐっては、放射線の人体への影響に関わるさまざまな情報が錯綜しました。動物実験の情報も多数ありましたが、実際には、なぜ放射線被ばくに関して人での知見が得られているかといえば、広島・長崎の原爆の被害者を長期間、何万人も追跡調査した結果があるからです。子どもの甲状腺を真っ先に守らなければいけないという知見も、チェルノブイリ後の調査から得られたものです。動物実験は、結果を人間にそのまま当てはめられるわけではありません。
低線量の放射線の影響についてはよくわかっていないとも言われていますが、今後、福島第一原発を中心とした広範囲での疫学調査が必須となるはずです。それを機に、動物実験偏重と言われる日本の医科学研究のあり方を転換させるよう、国に意見を送りましょう。
意見送付先:内閣府科学技術政策・イノベーション担当
〒100-8914 東京都千代田区霞が関3-1-1 中央合同庁舎第4号館
メールフォーム:https://form.cao.go.jp/cstp/opinion-0001.html