■国会で動物実験代替法の促進の質疑
今通常国会において、化学物質の安全性を確保するための法律 「化学物質の審査及び製造の規制に関する法律」(略称「化審法」)の改正案が審議されました。
4月28日には、参議院経済産業委員会・環境委員会連合審査会で質疑が行われ、岡崎トミ子議員が、既存化学物質の安全性試験をするために、今後膨大な動物実験が必要となる可能性があり、速やかに動物実験の代替法を促進するべきこと、および重複試験を避けることについて質問され、これに対して政府は前向きの答弁をしました。
4月30日には、参議院経済産業委員会で、山根隆治議員が動物実験代替法に関するに質問に多くの時間をさき、動物実験の3Rを促進するべきこと、そこで日本は代替法の研究体制が遅れており、予算も人員もごくわずかしかない−欧米に比べて日本では代替法検証センターの専従はわずか1名−と指摘。これに対して経済産業省、厚生労働省が今後予算をつけること等を答弁しました。
質疑の模様は、1カ月間、インターネットで見ることができます。
参議院インターネット審議中継 (ビデオライブラリー、会議検索)
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/library/result_consider.php
1週間程度で会議録も掲載されますので、文字で読むことも可能です。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/frameset/fset_e01_01.htm
■附帯決議で代替法の促進を明記
化学物質審査法の改正は参議院で5月12日に可決されました。
可決に当たり、参議院経済産業委員会では付帯決議が付けられ、政府は動物実験代替法を促進すべしとの条文が明記されました。
実際に事業を行う経済産業省に対して、この決議がなされたことの意義はたい へん大きいものがあります。
平成21(2009)年5月12日
化学物質の審査及び製造の規制に関する法律の改正(案)
参議院経済産業委員会付帯決議
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
1〜9 略
10、試験に要する費用・期間の効率化や国際的な動物試験削減の要請にかん がみ、定量的構造活性相関の活用等を含む動物試験の代替法の開発・活用を
促進すること。
また、国内外での法制度で明記されている動物試験における3R(代替法活用、 使用数削減、苦痛軽減)の原則にかんがみ、不合理な動物実験の重複を避け
など、3Rの有効な実施を促進すること。
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なお、附帯決議とは、衆議院、参議院の委員会で法律案を審議し採択する際に、 その法律の不十分な点などについて、運用にあたっての注意や、将来の法改正
の要望などを、全会一致で決議するものです。
法律的な拘束力はありませんが、国民の代表機関である国会の意志であるため、政府はこれを尊重しなければなりません。
<国際ニュース> Good News!
[環境CSR]動物実験の代替法に関する国際的協力協定が合意
2009年04月30日
http://www.ecool.jp/foreign/2009/04/eur38-257.html
欧州委員会の共同研究センターをはじめとする、動物実験に代わる試験法 (代替法)の検証を扱う世界の専門機関は27日、動物実験に代わる試験法の評価に関する国際的な協力協定に署名した。これにより、代替法推進の国際的な取り組みが大幅に前進することになる。
欧州委員会のヤネス・ポトチュニック科学・研究担当委員は、科学分野における国際協力が及ぼすよい影響だと強調した。
委員は、「動物福祉および倫理的観点両方における懸念から動物実験を減らすこと、そして、消費者の安全を守ることが、この度の国際合意の2大目的である」とし、「欧州、米国、日本およびカナダの研究者が力を合わせることで、科学的根拠によって裏付けられた代替法の特定がより迅速に行えるようになると期待している」と述べた。
<日本の動物実験代替法促進機関>
JaCVAM(日本動物実験代替法検証センター)
http://jacvam.jp
「JaCVAMは、化学物質等の安全性評価における動物実験の3Rsの促進と国際協調を重視した新規動物実験代替法の公定化を進める」