平成の時代に入ってからも、毎年、超低価格で県内外の実験施設へ数百、数千頭の犬達を送り続けてきた茨城県が、ついに、平成13年度より収容犬の実験払い下げ廃止を決定、県内動物実験施設の届け出制度に向けて事前調査を開始します。
「払い下げはやめました。」突然の県担当職員の告白に「!?」思わず背筋が伸びました。茨城県は9月より県内に動物愛護推進員を配置させることを決めており、その業務内容等を検討する県サイドとボランティアによるミーティングの席上、「払い下げを続行するのなら、せめてその施設だけでも管理方法などのチェックを行うべきでは?!」と噛み付いたところでした。顔がゆるみだした私に、その担当職員はこうも言いました。「今後、県内に存在する様々な動物実験施設へ事前調査を行い、届け出制に向けて動いていこうと思っています。」と。茨城もやっと一歩踏み出せた、野上さんや払い下げ廃止を願う人たちに早く報告したいと胸が熱くなりました。
茨城県は、昨年3月23日の『動物愛護推進事業に係わる打ち合わせ会議』を皮切りに、これまで1年間、県内在住の過去に何らかの形でセンターと係わりを持った動物保護ボランティアを召集し幾度もミーティングを行ってきました。始めは、それ以前の県側の対応とのギャップに多少のとまどいと不安を抱えての出席でしたが、指導センター所長の「今すぐの対応は無理でも少しずつ出来ることから前進を」との言葉に小さな希望を持ち、慎重に思いを述べてきました。
茨城県は、動物愛護条例改正に関するボランティアサイドの意見を集めたり、また、今後の愛護推進事業における県獣医師会との連携等について、我々ボランティアと獣医師会役員とを同席させて会議を行ったり、12月には指導センター職員にボランティアが同行する形で栃木県動物愛護センターの視察も実行しました。
払い下げの廃止のみならず、定点回収の有料化など幾つかの要望は事あるごとにぶつけてきましたが、全てがこちらの思うように運ぶわけもなく、「あなた方の言うことだけ聞くわけにはいかない」と、はねつけられ、「この人達は命を遺棄する人々にも耳を傾けるのか?」と、ひどくへこんだりもしましたが、会議にはしつこく参加し続けました。
茨城県動物愛護条例は、我々の期待に値するものではない、全く国の法律をなぞらえただけのものとなってしまいました。私としても、努力が足りなかったと反省しています。しかし、茨城も遅ればせながら変わろうとしているのは事実です。今回のミーティングで、払い下げ廃止及び実験施設事前調査を行っていくことに加え、これまで各市町村で毎週行ってきた定時定点回収を隔週にし、これによって9月の愛護週間にはガス庫の運転停止が実現可能となったことを、センター所長の言葉で確認しました。また、私も参加していますが、昨年より、収容犬の譲渡会にはボランティアが介入し、これまでの誰にでもあげてしまう県のやり方を改め、里親希望者と面接を行い、不妊手術の約束を交わし、その後追いもしています。また、不適格と判断された希望者には帰っていただいています。
今年度から茨城県動物指導センターは、ホームページを開設し愛護活動の紹介や様々な情報提供を行っていくそうです。新しい所長就任後のセンターは、少なくとも聞く耳はもっていると私は感じています。今年度から、愛護啓発活動をスムーズに運営するため、削られる一方だった職員も2名増員できたそうです。皆さんもどんどん意見や要望をセンターへ発信してはいかがでしょうか。私も、必ず不幸な子達を減らしていけることを信じて頑張っていこうと考えています。