昨年8月に、初めて県庁を訪れました。福島県の払い下げ先である福島県立医大への実験払い下げ廃止を要望し、動物保護条例制定を求めるハガキにも、払い下げを廃止してほしいと記入し、ことあるごとに要望を続けてきたのですが、県としては動物実験が必要と考えているので、廃止予定はないとの回答でした。
夏からずっと考えていた署名集めがなかなか実行に移せないでいたのですが、昨年末に何かに背中を押されるように、「集めよう!伝えよう!」との思いから動き出しました。初めての経験で分からないことだらけだった私は、大急ぎで署名用紙の作り方や提出に関わることを、野上さんや事務局の方に指導いただきました。医大側との契約更新となる3月末前に署名を提出するため、仲間たちと協力して、1ヶ月半で1000名を目標に、払い下げ廃止を求める署名集めとチラシ配りを郡山駅前で計5回行いました。
短期間で署名を集ると同時に、多くの人に知ってもらうために、人通りのある街頭に犬も同行させ、自作のパネルを並べて仲間と大きな声で呼びかけました。会のチラシと一緒に、地元の問題にも関心を持ってもらいたいと、福島版のチラシを作り、署名いただいた方に渡しました。
普段私は、街頭で署名活動をしている方に呼びかけられても、避けて通りたくなることが多く、また悪用されるのではないかという考えが一瞬頭をよぎります。これまで同じような感情を抱いている方も多いのではと思っていましたが、今回多くの方が動物たちのために快く署名をして下さり、深い感謝の気持ちでいっぱいです。そんなことを考えると、今回の活動から私が学んだことは、とても大きなことだと思います。
2月13日、会員4名で県の生活衛生課に行き、1,691名分の署名を提出することができました。そして、とうとう福島県は平成15年に払い下げを廃止し、それまでは数を減らしていくということを発表しました。
今回の署名では、様々な形で大勢の方が参加して下さり、ひとりひとりのパワーが集まったお陰で、短期間に多くの声を集めることが出来たのだと確信しています。特に街頭では手もかじかみ、声を発するのも大変な寒さの中で、仲間とともに活動したことは絶対に忘れません。そしてまた動物たちのためにパワーを集めていきましょう!なんとしてでも、動物取扱い業者の許可制と、実験の法規制の実現に向けて、地元で地道に啓発活動を続けていくことが大切なのではないかと思います。
署名提出から2ヶ月近く経ち、これまでを振り返ると、動物たちの悲惨な現状をなんとかしたいという思いから行ってきたとはいえ、自身の未熟さゆえ行政の担当者の心を無視した発言をし、傷つけてしまったのではないかと考えるようになりました。県の姿勢を見ると、何故すぐにでもできそうな改善をしないのかといういらだちや怒りがこみ上げ、つい行政VS私たちという雰囲気になりがちでした。様々な反省から、今、特に地方では行政担当者との信頼関係は必要だと実感しています。まずは担当の方をひとりの心をもった人間として尊重しながら接する姿勢を忘れずにしたいと思います。
動物実験は、医療、食、環境とまさにあらゆる方面と密接に関わっていることを、日増しにずっしりと感じます。多方面からライフスタイルの改善を呼びかける幅の広い活動に、私なりの形で関わっていけたらと願っています。