徳島県もようやく今年度から動物実験への払い下げが廃止になる。
「どちらにしろ処分されてしまうので、人の生命のために役立てたいということから、必要であれば提供していたが、実験への払い下げは好ましくないという皆様方の提言もあり、動物愛護精神の高まりによる全国的な流れでもあるので、我々としてもそう判断した結果取り止めた」という県側。
●廃止を公表しない県側
平成12年7月、県は主な譲渡先関係機関に口頭で13年度からの払い下げ廃止を周知しているが、私たちには8月末に質問をし、9月に回答を得るまで知らされていなかった。
9月28日と11月1日、県の動物愛護条例制定を求める要望書を知事宛に提出した。その際、「払い下げ廃止は、無意味な動物実験を助長することへの歯止めとして意義深いことである。動物行政の前進で評価できることなのに、なぜ県はそれを公表しないのか。公表しなければ信憑性がなく、県の姿勢が伝わらない。また県の掲げている動物愛護の啓蒙普及や捕獲処分等狂犬病予防事業も税金で行われている。知らせる義務もあるのでは」として、同時に要望を提出した。
こに対する県生活衛生課責任者の返答は、「無意味な実験かどうかについては私どもには分からない。」そして、「これは、周知しなければ県民が被害を被るとか直接影響があるという問題ではなく、県担当者と研究施設側との間でのことなので、(今後も)公表する必要はない」と、話はいつまでも平行線。
「それでは、私たちが公表することについては」の質問に、「それはそちらの考えですから。(私たちと県)二者間の秘密の話ではありませんので」といわれ、その日(11月1日)県政記者室で県とのやり取り一部始終をそのまま発表。朝日・毎日・読売・徳島の4社で小さく記事になった。しかし記事は県が発表した形になっていた。
徳島新聞には、譲渡の大半を占める徳島大学医学部付属動物実験施設の助教授の「野犬ではいいデータは得られない。いいことではないか」というコメントを載せていた。しかし、平成12年7月からの半年間で約74頭もの払い下げがなされている。このコメントには、納得できない。
その後、県の決定は口頭でなく文書でという要望が受理され、12月8日付で県から実験譲渡の廃止を文書通達、譲渡先機関からの返答文書も着信し次第公開してもらえるとのこと(2月14日に受け取り)。2000年末をもって譲渡は終了、2001年1月から完全に廃止となった。
●条例の制定
県の動物愛護条例については、昨年夏から3度にわたり要望書を提出し、東京都の条例等を参考にしながら、県職員の方も何度も話し合いに応じて下さり、私たちの要望も考慮に入れられ検討中、近く議会にかけられる。
但し、あくまでも動愛法の範囲内でということで、法律の上乗せは期待できず、最終的にはかなり譲歩した要望書に書き直すことになった。条例制定を求めるハガキは、9月のパネル展で会員皆で知事宛てに書き、また来場の方に投函をお願いしたり、コピーなどして条例が制定されるまで送り続けることにした。
●センター建設
また、徳島県では2003年春を目途に動物愛護管理センター(仮称)が建設されるため、同センター及び動物行政に関する提案もその都度持って行き、8、9月パネル展でのアンケートの意見と集計結果を添えて条例の要望書とともに提出、今後検討される。
しかし、施設発足までの間、捨てられた犬猫の里親希望者がせっかく保健所や抑留所に出向いても、1匹も譲渡してもらえないという現状でありながら、「里親を探す会(月1回市内公園で獣医師を含むボランティアにより行われている)へ行って下さい」と任せるだけでは無責任。施設発足後のことを考えても年間1万頭以上もの処分数には到底対処しきれず、各保健所に譲渡できる犬猫のための一室を設けるなど、早急に施策を立てる必要があると思う。